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Your side
目が覚めると、見知らぬ天井がそこにあった。
｢あ、起きたね。｣
『えっと…ここって？』
｢大学の保健管理センターです。講義中に過呼吸で倒れたの、覚えてない？｣
そう言われ、徐々に意識がはっきりしてくる。
『あー、覚えてます。』
時間が経てばまた聴力も戻ってるんじゃないか、なんて淡い期待を抱いていたのだが、残念ながら相変わらず左耳は全く聞こえないままだった。
｢元々過呼吸にはなりやすかったんですか？｣
『いえ、今回が初めてでした。』
｢あらら、それは焦ったね。｣
少し眉を下げて微笑みかけてくれた先生(?)に、
『はい…』
と苦笑いで答えると、
｢過呼吸って一度なると癖になっちゃう事が多いから、一応今後またなった時にどうしたらいいか教えておきますね。｣
と言って、対処法を丁寧に教えてくださった。
｢まだ何か講義は残ってる？｣
と聞かれてふと時計に目をやると、時刻は既に午後。
『いえ、今日はもうないです。』
｢そう。じゃあ今日は帰ってゆっくりして下さい。一人暮らし？｣
『はい。』
｢そっか。出来れば呼吸器内科とかの病院にも行った方がいいんだけど、かかりつけの病院とかはありますか？｣
いつもは耳鼻科にしかお世話になってないけど、うーん、呼吸器内科もやってたかなぁ。
『いつも行ってる病院はあるんですけど、ちょっと調べておきます。』
｢そうして下さい。お大事にね。｣
そう言って優しい笑顔で送り出されるが、
やばい、怖い。
片方の音が聞こえないだけで、こんなに急に世界が変わるものなのか。
色々気になる事はあるけれど、とりあえずは無事に家に帰る事が最優先事項だ。
何とか駅に辿り着き、電車に乗った所でようやく一息つく。
はぁ、これからどうしよう。
専攻の先生にはどうやって説明しようか、両親には何て報告しようか、大学はどうしようか、QuizKnockのみなさんにはなんて言おうか。
こうやって頭がぐちゃぐちゃになった時に頼るのは、結局いつも彼なのだった。
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きゃる(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです！ (2021年12月12日 21時) (
レス) id: 90b0f7c65f (このIDを非表示/違反報告)
さく - あ、好き.... 私基本的にkwmrさんの小説読まないんですけどこれは素晴らしいと思いました。更新頑張ってください! (2021年12月12日 15時) (レス) @page50 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きゃる | 作成日時：2021年10月4日 20時
