72 ページ24
Your side
仕事の話やオフィスでの出来事なんかを話しているうちに、お酒もそれなりに減ってきた。
そろそろカクテル飲みたいなぁ、なんて思っていたら、
「そういえば、」
とたぁ兄が話を切り出す。
『何でしょう。』
「プレゼント。忘れない内に渡しとくわ。」
そう言って取り出したのは、何やらちょっとお高そうな紙袋。
『え、なんかガチじゃん。』
「入社祝いも兼ねてるから。」
『開けてもいい?』
「どうぞ。」
小ぶりな紙袋から出てきたのは、小さな箱とラッピングされた何か。
どうしよう、まずは箱じゃない方から開けるか。
アメリカではビリビリに破くのが一般的らしい包装紙を、出来るだけ綺麗に剥がしていく。
すると出てきたのは、カラフルな小瓶たち。
『これは…マニキュア?』
「そう。貴方そういうのしてみたかったんでしょ?」
小さく微笑んだたぁ兄に、思わず感心してしまう。
確かにその通りだった。
今まではピアノ弾きの宿命として手元でのオシャレは基本的にして来なかった。
だって弾く時邪魔になるし、マニキュアとかも塗ったってグリッサンドとかしてるうちに絶対禿げるだろうし。
けれど、やっぱり私だって女の子。
そういう物への憧れがなかった訳じゃなくて。
むしろ出来ない分余計に憧れてた部分もある。
そんな事に、彼は気付いてくれていた様だ。
『えー嬉しい。ありがとう。』
「箱の方もまあ大体同じ理由だから。」
そう言いながら机の上のものを片付け始めた彼に、えーなんだろう、なんて返事をしながら小箱を開ける。
『…え、待ってこれ高いんじゃないの?』
「入社祝いも兼ねてるってさっきも言ったでしょ。」
いやいやいやいや。
ちょっとこれはガチすぎるって。
小箱の中から出てきたのは指輪。
多分サイズ的にピンキーリングってやつ。
え、ていうか指輪のサイズなんて私…
あぁ、教えたわ。何なら全指教えてるわ。
なんか宝石みたいなのもついてるし、え、マジ?
確かにオシャレとして指輪つけてる人に憧れがあったのも事実だし、嬉しいんだけど、
『とりま、はめてみても良い?』
158人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きゃる(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです! (2021年12月12日 21時) (レス) id: 90b0f7c65f (このIDを非表示/違反報告)
さく - あ、好き.... 私基本的にkwmrさんの小説読まないんですけどこれは素晴らしいと思いました。更新頑張ってください! (2021年12月12日 15時) (レス) @page50 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:きゃる | 作成日時:2021年10月4日 20時