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須貝side
彼女にコーヒーを手渡すと、お供として誕生日プレゼントで貰ったのであろう大量のお菓子の箱から、適当な一つを開封し始めた。
『ん、美味しい。』
おしゃれなクッキーを頬張るAちゃんを何気なく眺めていると、
『あ、須貝さんも食べます?』
視線に気付いた彼女が箱をこちらに向けてくる。
「いやいや、Aちゃんが貰ったものなんだからまずあなたが食べな。」
と断れば、それもそうですね、と再び箱を戻した。
今だから言える話だが、実は正直彼女への第一印象はとても良い、という訳ではなかった。
いや、めちゃくちゃいい子なんだろうな、とは思ったんだけど、なんというか、しっかりしすぎていて嘘っぽいというか。
でも撮影などで絡む内に、意外と雑なところがあったり、結構表情が豊かだったり、ちゃんと人間味がある人だという事が伝わってきて。
河村さんはきっと、そんな彼女の色んな面をもっと沢山知っているのだろう。
だから好きになったんだろうな。
Aちゃんにぼんやり視線を向けたままそんな事を考えていれば、ふとある視線に気付く。
あら、意外と嫉妬深いんじゃん。
思わず上がった口角を隠す様に、マグカップの中身を飲み干した。
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きゃる(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです! (2021年12月12日 21時) (レス) id: 90b0f7c65f (このIDを非表示/違反報告)
さく - あ、好き.... 私基本的にkwmrさんの小説読まないんですけどこれは素晴らしいと思いました。更新頑張ってください! (2021年12月12日 15時) (レス) @page50 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年10月4日 20時