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Your side
『もう、新手のイジメかと思いましたよ。』
「いや、これから入社するって子にわざわざこんなよく分かんないイジメしないって。」
そう言って私の前に座るのは鶴崎さん。
普段私がオフィスでよく絡むのは大抵年齢が近い人ばかりなのに対して彼は少し歳上なのだが、とても物腰が柔らかくて話しやすいため結構よくお話しするのだ。
『でも、まさかこんなサプライズがあるとは思ってませんでした。』
てっきり誕生日企画をやって下さる事がお祝いだって認識してたので、と言えば
「それじゃあプレゼントが仕事になっちゃうでしょ。」
なんて笑われてしまう。
いや、確かにそうなんだけど、なんて言うのかな。
QuizKnockでのお仕事ってなんか、愛がこもってるじゃないですか。
もちろん他の仕事だってそうなんだろうけど、普段の動画の企画も、クイズというものに対してすごく愛に溢れていて。
だから誕生日である私のために企画を打って下さった事に、すごく愛を感じたんです。
なーんて事は恥ずかしくて、とても素面の状態では言えない。
とか言って私、ほとんど酔った事ないんだけど。
『それにしてもあんな学生みたいな祝い方されるとは思わなかったです。あ、良い意味でですよ?』
「えぇ?どちらかと言えば貶してる方向じゃない?今の言い方。」
『違います、嬉しかったんです。あんまりこうやってお祝いされた事なかったんで。…って、別に友達がいなかった訳じゃないですよ?』
素直に感想を言えば、暗い話だと捉えられかけてしまったので慌てて訂正する。
『ほら、私誕生日遅いじゃないですか。だから大抵学校とか春休みになっちゃっててお休みだったんですよ。』
「あぁ、なるほどね。」
と説明すれば納得してくれたようで、安心した様子で頷く鶴崎さん。
『だから、いつもサプライズはする側だったんです。まさかこんなタイミングでされる側になるとは思ってませんでした。』
「大人になるとなかなかこういう事ってされなくなるしね。まぁ、Aちゃんが喜んでくれてて良かったよ。」
と笑顔を見せる鶴崎さんに、私も笑顔で応えた。
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きゃる(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです! (2021年12月12日 21時) (レス) id: 90b0f7c65f (このIDを非表示/違反報告)
さく - あ、好き.... 私基本的にkwmrさんの小説読まないんですけどこれは素晴らしいと思いました。更新頑張ってください! (2021年12月12日 15時) (レス) @page50 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年10月4日 20時