epi.64 サプライズ ページ16
Your side
みなさんへの説明を終え、一安心してパソコンに向かったのだが。
「ちょいとお尋ねしたいんだけど、いいかい?」
なんて珍しくオフィスで話しかけてきたたぁ兄に、
『どうしました?』
と振り返る。
「色々お聞きしたくてね。アンケートにお答え頂きたいんだけど。」
そう言って渡されたA4の紙には、ズラリと質問が並んでいて。
『え、いつまで?』
「出来るだけ早く。」
『んー、じゃあ今書いちゃお。』
筆箱からペンを取り出し、たぁ兄の視線を感じながらアンケートに目を通す。
内容は音楽の事や、私の好きな折り紙やお酒の事、更には好きな服のブランドや髪色、そして足や指のサイズまで聞かれており、正直何のためのアンケートなのか全く見当がつかない。
『え、これ何の質問なん?』
「いいからいいから。」
なんだか腑に落ちないが、とりあえず促されるままに記入していく。
えー、指のサイズかぁ。
『指輪のサイズなんて測った事ないなぁ。てか筋肉ついちゃってて太いんだよねぇ。』
「ピアノ弾きの宿命だね。」
『そーそー。レディースの手袋とか、物によっては入らなかったりするし。』
そんな話をしながらも、一応その辺にあったメジャーでそれぞれの指周りの長さを測る。
うーん、やっぱゴツいなぁ。
指だけでなく、手のひらも筋肉で分厚いため、所謂女の子の手とは到底かけ離れていると思う。
柔軟性には自信あるけどね。
まぁそんな訳で多少の疑問は残りつつも、一応全ての質問を埋め、たぁ兄に返却する。
『はいよ。』
「どうも。あ、このアンケートの解答が第三者に渡ることはございませんのでご安心下さい。」
『別にいいよそんなん。』
と、よく分からないフォローをされつつそれぞれ仕事に戻る。
この後は確か山本さんの企画のテストプレイがあったはず。
それまでには今やっている作業は終わらせてしまいたい。
近くに置いていたコーヒーを一口飲み、気分を切り替える。
さぁ、あともう一踏ん張り。
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きゃる(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです! (2021年12月12日 21時) (レス) id: 90b0f7c65f (このIDを非表示/違反報告)
さく - あ、好き.... 私基本的にkwmrさんの小説読まないんですけどこれは素晴らしいと思いました。更新頑張ってください! (2021年12月12日 15時) (レス) @page50 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年10月4日 20時