epi.60 新たに ページ12
伊沢side
俺は今、シンプルに落ち込んでいる。
言わずもがな原因はAちゃんのことだ。
現在オフィスでは、彼女が参加する予定だった撮影の日程の組み直しが必要になった場合に備えて、動画要員たちのスケジュール確認が進められていた。
「はぁ。」
本日何度目かのため息が出る。
腕を組んだまま上を向き、あ〜、と低い声で唸れば、そんな俺を見て苦笑する福良さんが目の端に映った。
今回の件は、俺達にも責任がある。
Aちゃんがここに入ることになった時、河村から頭を下げられていたのにも関わらず、彼女のオーバーワークに気付けなかった。
上司として失格だ。
福良さんもあくまでいつも通りを装っているが、心なしか表情が暗い様子から自分と同じ事を感じている事が窺える。
そんなタイミングで、今日撮影がある奴らが続々とオフィスにやって来た。
「お疲れ様でーす…って何この空気。」
とこうちゃんが言うと、続いて入ってきた須貝さんも
「お疲れーい!…って、暗くね?」
何事何事、と戸惑っている。
「え、何かあったんですか?」
そんな2人を代表して、キョロキョロしながら遠慮がちに尋ねてきた山本に、
「いや、実はさっきAちゃんが倒れたって連絡があって。」
と福良さんが答えれば、3人とも予想外の理由だった様で明らかに驚いた表情を見せる。
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きゃる(プロフ) - さくさん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるととても嬉しいです! (2021年12月12日 21時) (レス) id: 90b0f7c65f (このIDを非表示/違反報告)
さく - あ、好き.... 私基本的にkwmrさんの小説読まないんですけどこれは素晴らしいと思いました。更新頑張ってください! (2021年12月12日 15時) (レス) @page50 id: dc6ef9e765 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年10月4日 20時