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あの後、冷静に考えれば考える程とんでもない事を引き受けてしまったのではないかと思い、感情のままにたぁ兄にメッセージを送ったところ、直接会って聞こうじゃないか、と言われた為、また我が家に招く事になった。



「さて、どういう事なのか説明してもらおうか。」



と、定位置であるソファの右側の縁に肘を乗せ頬杖を着く形でこちらを見下すたぁ兄に、自然と小さくなる私。



『…って何でそんなに偉そうなんよ。別に悪いことはしてなくない?』

「まぁ、そうだけどね。」



とツッコんだらスっと普通の体制に戻った彼に、改めて事情を説明する。



『いや、先輩に急にカフェに連れ込まれてな?福良さんに楽典教えてって言われたけど苦手だから、私にお願いしたい!って頼み込まれちゃって…』

「なるほど、つまり押し切られたと。」

『まぁ、そうとも言える…けど、確かに先輩がやるよりは私がやった方が良さそうだなぁ、とは本当に思って。』



楽典なら今までも結構友達に教えたりした経験もあるし、なんなら先輩からも度々頼まれて解説をした事がある。



「別に、君の事だから下心があって引き受けた訳じゃないのは分かってるし、良いけどね。」



そういうとおもむろにカバンからファイルを取りだし、渡してきた。



「これ、福良から。君紙派でしょ?」

『あ、印刷してくれたの?ありがと。』

「まぁ、企画内容とかスケジュールとか諸々書いてあるから把握しといてね。あと…」



そう言って言葉を止めたたぁ兄に、読んでいた資料から目線を外す。



「現時点ではこれは記事用の企画で、そこに書いてある内容だと記事の為の資料映像としての撮影がある事になってると思うんだけど、」

『うん、それは良いけど。』

「ただ、何となくだけど会議の時の伊沢の雰囲気的に、ちゃんと動画化したいって言い出す可能性もあるなと思って。」



まさかの展開に思わずたぁ兄をガン見してしまう。



「そんな目で見られても僕の責任じゃないから…」

『うーん、マジかぁ。』

「ま、でも杞憂かもしれないし、とりあえず行ってみてどうなるかだね。もしそういう流れになっても、Aがどうしても嫌なら僕も力になるから。」

『うん、まぁ、色々覚悟決めとくわ。』

「そうしといて。」



本当に、とんでもない事になりそうだ。

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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時

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