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こうちゃんside
先日の撮影の後、ふとある事に気付いた。
それは、Aちゃんが問読みに違和感がなかったという事だ。
それがどうしたと思われるかもしれないが、これは実は結構すごい事なのだ。
問読みには、いくつかパターンが存在している。
その中で最もよく使われる読み方を、彼女は自然にやっていた。
金竜読みなんて呼ばれたりもするのだが、
例えばパラレル問題の場合、パラレルになっている部分にアクセントがつく。
それによって、ですがの後に何が聞かれるのかを、ですが以降を聞く前にプレイヤーは判断する事ができるため、問題を聞き終える前にボタンが押せるのだ。
もちろん、この読み方をしなければいけない訳ではないのだが、この読み方がスタンダードであるため、そうじゃなかった時はどうしてもやりにくい。
『どうしてですか?』
と不思議そうにこちらを見るAちゃんに、素直にこの疑問をぶつけてみる。
すると。
『やっぱりそうだったんですね!』
という、少しずれた解答が返ってきた。
「やっぱりってどういうことよ。」
笑いながら山本が聞く。
『いやぁ、前からどのクイズチャンネルでもみなさんパターンごとに同じイントネーションで問読みされるから、何かあるのかなぁって思ってて。私なりの解釈で真似してみたんですけど、合ってたみたいで良かったです。』
そう言ってのけた彼女に、開いた口が塞がらない。
「え、マジで言ってんのそれ。」
『マジです。』
「やっば…自力で法則見つけるのはヤバいって。」
もしかしてこの子、実はめちゃくちゃ研究者タイプなのでは?なんて思っていたら、
『昔から好きなんですよね、発音とかイントネーションとかアクセントの法則。語学にハマったのもそれががきっかけで。』
と追撃される。
何それすご、なんてケラケラ笑っている山本に、いつもの様に謙遜しているAちゃん。
流石突然スカウトされたのに、ちゃんと評価されてるだけの事はあるな、なんて思ってしまった。
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作者名:きゃる | 作成日時:2021年9月10日 10時