Episode10 ページ10
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街は完全にクリスマス一色だ。
街路樹にも光る装飾がなされ、
道行く人も赤や緑の服を着ていたりする。
「 あれ、Aさん？ 」
道を歩いていると
後ろから声をかけられ、振り向くと、
福良さんがいた。
「 あっ、この前はどうも！ 」
私はお辞儀をする。
「 オフィス、この近くなんだよね 」
なにやら福良さんの右手にはスーパーの袋が。
「 買い出し、ですか？ 」
「 そうそう、これから鍋やろうと思って 」
「 鍋！ いいですね、冬の代名詞です....... 」
と言うと、福良さんはニコニコしながら
「 どう？ 一緒に食べません？ 」と言った。
「 ええっ、私なんかがお邪魔して大丈夫ですか？ 」
「 うん、会いたがってる人もいるし 」
「 え？ 」
「 あ、ああなんでもない 」
「 では、お邪魔させていただきます...... 」
行こう、と言われ、歩き出す。
店の買い出しはついに後回しに。
まあいいか。
「 買ってきたよー 」
福良さんが玄関から呼びかける。
おー、や、いえーい、などの声が
まばらに聞こえる。
なかなかの人数のようだ。
もしかして、伊沢さんも？
なんて、少しだけ期待した。
「 さ、靴脱いで 」
福良さんが先に行ってしまいそうで、
急いで着いていく。
廊下は寒いなあ。
「 みんなー、Aさん連れてきた 」
福良さんはキッチンへ向かいながら、言う。
「 うおー、Aさん！久しぶり 」と須貝さん。
「 わー、ようこそ！ってかガチガチの私服だ、かわいい 」
と山本さん。
リビングには二人しかいないようだ。
「 あの、今日は他に誰かいらっしゃいますか？ 」
と聞いてみると、二人はニヤニヤし出した。
「 な、なんですか......？ 」
「 あっちの部屋に、二日酔いの川上さんがいる 」
と須貝さんが指を指し、ククク、と二人は笑う。
「 川上さんがいるんですか！ 」
しかも、さっき電話をした時は
二日酔いはしていないと言っていたのに......。
「 Aさんに恥ずかしいことしたんだってさ。忘れてあげてね、冗談だけど 」と須貝さん。
「 どっちだよ 」と後ろから福良さん。
「 あー、あと伊沢さんも来るよ 」と山本さん。
「 そうそう、あの人寝坊 」と須貝さん。
伊沢さん、そして寝坊、と聞いて、
可愛らしく思えて頬が緩んだ。
「 川上のとこ行ってあげて 」
と福良さんに言われたので、
仕方なく、行ってみることに。
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作者名：素粒子 | 作成日時：2019年8月31日 2時
