サイダー越しの恋。【ノックイズ】【izkm】

なついろ、なにいろ ページ11

kwkm side















「ねぇ川上、夏って何色？」



















サイダー片手に参考書とにらみ合いをしていると、唐突に間延びした声が響いた。



















「何すかその質問」



















「や、春って"青春"じゃん？
夏にも何かねぇかなぁって」



















「その前提無いと分からんわ」



















そこで一区切り、炭酸を喉に流す。



















かといって表情筋のない参考書とのにらめっこも飽きてきた。



















「んーと、暑いから、赤とか？」



















「それだと春ってピンクっぽくね」



















「あー………じゃあ黄色」



















「"じゃあ"って何だよ」



















朗らかに笑う声にムッとして、少し、いや大分？生意気に返す。



















「なら、伊沢さんはどうなんですか」



















「透明」



















即答は予想していなかったので、反射的に振り返る。



















夏の空と調和しない、寂しそうな悲しそうな、不器用な笑顔。



















「暑くなって、みんな薄着になって、隠してた本音まで透けて見える。
そんな季節かな」



















返事はせず、ただサイダーを飲む。



















胸のわだかまりが、拭えない。

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