「だ」で始まる一番言いたいこと【QK】

ダイエット　-wtnb ページ43

やけにきらびやかなこのプールは、俗にナイトプールと呼ばれるアレだろう。

　私は去年買ったビキニの上から自分の体を隠すようにぶかぶかのパーカーを羽織った。
　ほんの少しだけだけど、可愛らしい水着の紐の上に、これまた可愛らしいお肉が乗っている。

　こんなつもりじゃなかったのに。
　先日のこうちゃんとのやりとりを思い出す。

　”え？ ダイエット？”

　”うん。ちょっと……太っちゃって……”

　去年の夏服を引っ張り出したところ、腰回りがきつかったのが、ショックだった。
　こうちゃんは気にしないと言うけれど、私は気にするのだ。

　”じゃあさ――”

　とこうちゃんに提案されたのが、このナイトプール(？)だ。

　”二人でプールで泳ごうよ”

　二人だったら恥ずかしくないでしょうというのがこうちゃんの持論だった。
　そういうわけじゃないんだけどと私は思いつつも、こうちゃんがノリノリで個別プール付きのホテルを予約してくれたから、何も言わないことにした。

　「A？ 入ろうよ！」

　先に着替えを終えたこうちゃんが、私に気づいて近づいてくる。
　恥ずかしくなって、隠れるように壁の裏に隠れる。

　逃がすまいとこうちゃんが私に近づいた。

　「恥ずかしいんだけど」

　こうちゃんが私に近づこうとするのに比例して、私はこうちゃんから離れるように距離をとる。

　こうちゃんが笑った。
　勢いよく私に駆け寄ってきて、ぎゅっと私の腕をつかんだ。

　「じゃあ早く水の中に入っちゃおうよ。
　そしたら恥ずかしくないんじゃない？」

　こうちゃんが自慢げに笑う。
　これまたそういうわけじゃないんだけどと思う。
　けれど、私はこの顔に弱い。

　私はこうちゃんと一緒にプールに入る。

　こうちゃんは可愛らしい浮き輪を抱えていた。

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