ダーリン -sgi ページ39
私はトラ柄のビキニを着ているわけでもなければ、だっちゃ！ なんて口癖でもないけれど、彼のことを”ダーリン”と呼んで慕っている。
「ダーリン、おはよう」
朝、オフィスに入ったら一番に彼――ナイスガイを探す。
最早癖といってもいい。
まわりよりも少し背の高い彼を見つけるのは容易で、また彼のほうも扉をガチャと開けて入ってくる私にすぐ気が付いた。
何やら作業しているらしいその背中に、控えめに飛びつく。
「おはよ、Aちゃん」
ぎゅっと抱き着いた背中から感じるダーリンの体温。
私のドキドキが伝わってしまえばいいのに、とさらに距離を詰めてみても、彼の反応は変わらない。
上目遣いとかボディタッチなんていう見え透いたアプローチはとっくに全部試した。
なんなら”ダーリン”なんてあからさまなニックネームで呼んでいるのに。
さすがに十も年が離れていると、彼は私を、恋愛対象としては見てくれないらしい。
「ダーリンはきょう、撮影？」
だ、あ、り、ん、の部分を少し強調してみる。
こんな些細なことに反応してもらえるなんて期待は最初からしてなかった。
「そう。メイン二本かなあ」
そう言って、んん、と伸びをした彼には酷かもしれないが、今日は私から頼みたいことがあった。
「それじゃあその前か後……、これ、一緒に行きませんか？」
ひょいと右手に持ったスマホの画面をダーリンの眼前に差し出す。
予約が取れないと噂のお洒落なレストランの予約が取れたのだ。生憎ランチタイムではあるのだけれど。
ちゃっかり二人分で予約したそれは、もちろん最初から彼を誘うつもりだった。
「友達に、断られちゃって」
私は息を吸うように嘘をついて、わざとらしくしゅんとしてみた。
優しいやさしいダーリンは、落ち込んでいる女の子を放ってはおけないのだ。
「はは。めっちゃオシャレじゃん。……俺でいいの？」
あなたがいいの、とは返せなかった。私はこくりとうなずく。
これくらいの計算をしてみたって、いいでしょう？
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すず(プロフ) - なな。さん» なな。さん、こちらこそいつもコメントありがとうございます！励みになります！更新が遅くなってしまいがちなのですが、これからもお付き合いいただければ幸いです(⌒∇⌒) (2020年8月9日 4時) (
レス) id: dd099c1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 今回もすごく良かったです！ありがとうございます(*^^*) (2020年8月8日 23時) (レス) id: 66b2d355de (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - なな。さん» なな。さん、いつもコメントありがとうございます！参考にさせていただきます<(_ _*)> (2020年6月27日 0時) (レス) id: 08393fa349 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 書いてた途中で送っちゃいましたw 11個くらいですが思い付いたキーワードです！ﾍﾟｺﾘ((･ω･)_ _)) (2020年6月26日 21時) (レス) id: e77780ba09 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 堕落で書いて下さり嬉しいですっ！更新ゆっくりでいいので無理なさらずに！「大事」「大恋愛」「蛇足」「打破」「妥協」「妥当」「ダミー」「ダウト」「ダイヤモンド」「脱線」「」 (2020年6月26日 21時) (レス) id: e77780ba09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2020年5月25日 0時
