ダイヤモンド ページ37
規則的な車の揺れがゆりかごみたいで、俺はいつの間にか眠りに落ちてしまっていたらしい。
突如首筋に冷たい何かが触れた。
「うわっ！」
ドクドクといやな音を立てる胸のあたりを抑えて顔を上げれば、Aがいたずらっぽく笑っていた。
カーナビも消えているから、ここがどこなのかもわからない。
あたりはまだ暗かった。
「出て！ きれいだよ！」
またぐいぐいと強引に腕をひかれる。
眠くて重たいまぶたをなんとか開くと、そこは海みたいだった。
そこで潮の香りがすることに気が付く。
海――、それが見えるベンチに並んで座る。
さっきAが買ってきたという缶コーヒーを飲む。
ようやく目が覚めてきたけど、状況はいまだ飲み込めなかった。
「ふふ、きれいでしょう？」
君のほうがきれいだよ、とかいうベタでキザなセリフは俺には言えない。
俺は目の前の景色を眺める。
朝日が半分くらい顔を出していて、藍色の空がまだらにオレンジ色で染まっていく。
そんな空の光を反射して、海がキラキラと光る。
文句なしにきれいな景色だった。
そこまできて、俺の頭も回ってきたから、ようやくAが俺をここに連れてきた理由が分かった。
隣を見る。
朝日に照らされたAの横顔も、この世のものと思えないくらいに美しい。
だけれど俺はそれを言ってあげることはできない。
そんなんだからこんなふうに気を遣われちゃうのに。
俺は右のポケットにしまわれたままの箱を握る。
待たせてしまった。
もっとも、Aはただ黙って待っていてくれるような女の子ではないけど。
俺は投げ出されたままのAの左手を握り締めた。
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すず(プロフ) - なな。さん» なな。さん、こちらこそいつもコメントありがとうございます！励みになります！更新が遅くなってしまいがちなのですが、これからもお付き合いいただければ幸いです(⌒∇⌒) (2020年8月9日 4時) (
レス) id: dd099c1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 今回もすごく良かったです！ありがとうございます(*^^*) (2020年8月8日 23時) (レス) id: 66b2d355de (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - なな。さん» なな。さん、いつもコメントありがとうございます！参考にさせていただきます<(_ _*)> (2020年6月27日 0時) (レス) id: 08393fa349 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 書いてた途中で送っちゃいましたw 11個くらいですが思い付いたキーワードです！ﾍﾟｺﾘ((･ω･)_ _)) (2020年6月26日 21時) (レス) id: e77780ba09 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 堕落で書いて下さり嬉しいですっ！更新ゆっくりでいいので無理なさらずに！「大事」「大恋愛」「蛇足」「打破」「妥協」「妥当」「ダミー」「ダウト」「ダイヤモンド」「脱線」「」 (2020年6月26日 21時) (レス) id: e77780ba09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2020年5月25日 0時
