堕落 ページ18
”ダメでしょ。……Aちゃんはまだ、十代なんだし”
それだけじゃない。つっこみどころは多かったけど、酒に酔った俺には論理的な説得なんてできる余裕がなかった。
俺がそう口にすれば、Aは顎に手を当てて目を伏せた。
睫毛が長いな、と思う。真っ白なほっぺに影が落ちている。
少しでも酔いを醒まそうかと、ぐびっと水を飲み干した。
急に顔を上げたAと目が合う。空気が変わった気がした。
”でも、キスだけですよ？”
は、と息が漏れる。正気か？
Aがあまりにもしれっと言ってのけるものだから、俺は眉間にしわを寄せることしかできなかった。
俺がおかしいのだろうか。イマドキの若者ってこんなもん？
俺は黙りこくっていた。
このあたりからゆっくりと、俺はAの仕掛けた罠にはまっていったんだろう。
くすくすと小さな笑い声が聞こえた。周りが静かじゃなかったら、聞こえないような笑い声。
いつも無表情なAにしては本当に珍しく、わかりやすく口角を上げた。
”……それともそれ以上を、する気なんですか？”
俺の左肩に、冷たいAの手が乗せられた。煽られているのかもしれない。
俺をひっかけようとしているのかもしれない。
――いいじゃん。ひっかかってあげても。
俺はちいさな頬に手を添えて、顔を上げさせた。
Aの大きな目が、ぱちくりとまんまるに開く。
俺は顔を近づけて、まず鼻先に口をつけた。嫌がるそぶりはない。
それを確認して、俺はさらにもう一度口付ける。
ほっぺ、まぶた、おでこ。ひときわ目立つ真っ赤な唇を避けるように、順番に、執拗に。
最後に俺はAの艶やかな髪の毛を一束掬って、そこにも唇をつけた。
Aは俺の首に、腕をかける。
”まさか。それ以上はしないよ”
”ここには、してくれないの？”
Aはくいと顔をあげて、わざとらしく唇を突き出してきた。
ここまでしておいて、乗らないなんて気は、毛頭ない。
”Aの、お望みどおりに”
俺はにやりと笑って、その真っ赤な唇に自分のそれを重ねた。
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すず(プロフ) - なな。さん» なな。さん、こちらこそいつもコメントありがとうございます！励みになります！更新が遅くなってしまいがちなのですが、これからもお付き合いいただければ幸いです(⌒∇⌒) (2020年8月9日 4時) (
レス) id: dd099c1ea5 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 今回もすごく良かったです！ありがとうございます(*^^*) (2020年8月8日 23時) (レス) id: 66b2d355de (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - なな。さん» なな。さん、いつもコメントありがとうございます！参考にさせていただきます<(_ _*)> (2020年6月27日 0時) (レス) id: 08393fa349 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 書いてた途中で送っちゃいましたw 11個くらいですが思い付いたキーワードです！ﾍﾟｺﾘ((･ω･)_ _)) (2020年6月26日 21時) (レス) id: e77780ba09 (このIDを非表示/違反報告)
なな。 - 堕落で書いて下さり嬉しいですっ！更新ゆっくりでいいので無理なさらずに！「大事」「大恋愛」「蛇足」「打破」「妥協」「妥当」「ダミー」「ダウト」「ダイヤモンド」「脱線」「」 (2020年6月26日 21時) (レス) id: e77780ba09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2020年5月25日 0時
