ふくら探偵と助手 ページ2
Aは頭を回転させながらもお弁当を食べ進め、謎が一向に解けないままお弁当を八割程度食べ終わってしまった。
ちなみにふくらは数分前にお弁当を完食して、いまだ苦心するAを愉快そうに眺めている。
「地名……、東京……、ニューヨーク……」
ぶつぶつとAが呟くのは、謎を解く鍵には到底なりえなそうな単語ばかり。
謎を見るなり一秒で答えを閃いたひらめき王子にはAの苦悩なんて一ミリも理解できない。
「ちゃんと文字を見るんだよ」
そうしていつもふくらは、Aのためになるんだかならないんだかわからないようなアドバイスを繰り返すのだ。
「むう……。ちゃんと見てますよ？」
「ふふ、じゃあ見るだけじゃなくて、観察してみて？」
「観察う？」
Aは距離を変え、角度を変え、時には拡大しながらスマホの画面をじっくり眺めた。
ここまで読んでくださった読者の皆さんならすでにもうお気づきかもしれないが、この謎において重要なのは文字列であり、画像ではない。
ふくらは再三繰り返されるAの無意味な行動を面白がるように、頬杖をつきながら見守っている。
「ギブです！ ギブアップ！
もっとヒントをください！」
「しかたないなあ」
しかしながら今は昼休憩中。
それもあと十分ほどで終わりを迎えようとしていた。
ふくらはもう少しAが悩む様子を眺めていたい気持ちを抑える。
「島はどこにある？」
「えっと……、真ん中？」
「そうだね。
何の真ん中？」
「この画像！」
「そうじゃなくて」
ふくらの誘導にしたがって、Aが少しずつではあるが、答えに近づいていく。
その様子が、ふくらにとってはとても愉快なのだ。
「あー、えっと、『か』と『わ』の真ん中！」
「そうそう。で？」
「え？ えーっと……」
AはAなりに思考を巡らせる。
島は『か』と『わ』の真ん中にあって、えっと、地名？ 『か』と『わ』の真ん中に、島……？
「真ん中、じゃなくて？」
ふくらは時計を気にしながらノートパソコンを立ち上げた。
Aはまだ弁当箱すら片付けていない。
「真ん中……、間？ center？」
「ふふ、もっと簡単でいいんだよ。
『島』は、『か』と『わ』の……」
「なか！ なかにあります！」
「と、いうことは？」
Aはキラキラと顔を輝かせながらふくらに近づいた。
「川中島！」
ふくらは笑う。
「正解」
ここまでが、この二人のルーティンだった。
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すず(プロフ) - 美結さん» ありがとうございます！更新いたしましたのでご確認いただけると幸いです。 (2020年11月14日 13時) (
レス) id: b6d0d1179d (このIDを非表示/違反報告)
美結 - 女の人は子供ですか？応援してます。 (2020年11月14日 4時) (レス) id: 995dbf7838 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ぽむさん» 夜分に申し訳ございません。更新いたしましたのでご確認ください！ (2020年11月10日 1時) (レス) id: b6d0d1179d (このIDを非表示/違反報告)
ぽむ - 男の人はドSですか？ (2020年11月9日 22時) (レス) id: 5b9712a103 (このIDを非表示/違反報告)
すず(プロフ) - ゆいさん» コメントありがとうございます！更新いたしましたのでご確認ください(^-^) (2020年11月2日 20時) (レス) id: b6d0d1179d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すず | 作成日時：2020年9月9日 5時
