続 ページ10
「それと、なんかお茶菓子かなんかいる?
折角なら、YouTubeでも見ながら休憩しようよ」
これは、斎藤さんにお菓子を渡すチャンスでは!
「斎藤さん。実は、この前話したようにお菓子を作ってきたんですけど。あの、食べてくれませんか?」
「、、、!」
可愛らしい。理解してから笑顔になるまでの一つ一つの表情の変化が愛おしい。喜んで、くれているのかな?
「作って、くれたの?」
「はい。ブルーベリーのマフィンを作りました。果物も好きとお聞きしたので。よかったら、一緒に食べませんか?」
「びっくりした。Twitterとかにも載せてなかったよね?」
「見てくれてたんですね。けど、残念ながらこれは載せてません。これは、完全に僕のプライベートとして作ったお菓子ですから。今回のは、自信作なんです」
ニヤニヤしながら僕達のことを見ている伊沢さんを他所に、会話を紡いでいく。あぁ。なんて言葉を返されるのかな。ドキドキする。
「嬉しい。凄く、嬉しいや」
「!」
いつもの明るく、花の咲くような笑顔ではなくて、つい喜びが溢れてしまったような笑顔をしている。この笑顔は、僕が今まで見てきた斎藤さんの中で1番綺麗で、大人っぽく見えた。
(まるで、私の為に作ってきたような言い方。わかってる。問君は優しいから持ってきてくれたって事。好意なんて、ある筈無い。けど、だけど、、、嬉しい。問君がくれる全てに幸せを感じるし、愛おしいや)
「それじゃ、お菓子に合う飲み物にしないとね。紅茶とかの方がいいかな?」
「それは、斎藤さんのお任せで」
「ふふ、いいよ。わかった。
伊沢さんは、コーヒーか何か要ります?」
「ついでに頼むわ」
「了解しました。問君。ごめんけど、先に撮影部屋開けてきてくれる?ついでに換気とかも。まだ、コロナとか怖いし」
「わかりました」
斎藤さんは僕達の飲み物を準備しに、給湯室に向かわれた。
「問。俺に感謝してくれていいけど?」
「とても感謝してますよ。態と、こんな機会を作りましたよね?」
「まぁな。俺は、お前らの事を応援してるから」
伊沢さんがそう言ってくれるだけで、なんだか心強いや。いつもは言ちゃんばっかり頼ってるから。言ちゃんは絶対に僕の事を応援してくれる。わかりきってる事だ。だからこそ、あの人と仲のよく距離の近い伊沢さんが、こうやって味方をしてくれてとても安心するし、背中を押してくれる。
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神影(プロフ) - 山本さん・・・ぐすっしくしくしく (3月27日 1時) (レス) @page21 id: 690f341ea7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳩原色 | 作成日時:2023年4月6日 23時