僕の好きな人は、会社の先輩 (ページ17)

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続ページ17

Aside

今日こそ、問君に告白しようと思って来た。問君に似合うように努力をして、距離を縮めて。なのに、なんでそんなに辛そうなの？いつもの太陽のような笑顔の彼が、痛々しそうに涙を流し溢す言葉に胸が痛む。

「ごめん。本当にごめん、斎藤。俺が、余計な事をしたせいで」

「渡辺」

渡辺が、問君を泣かせたの？あの子を、私の大切な人を。
わかってる。渡辺は、誰かを傷つけようとする奴じゃない。多分、やり方を間違えたか、問君が違う方に勘違いしたんだろう。でもさ、私にとって彼は1番愛しい人。そんな彼が泣いてるのを見て、正気を保つなんて出来ないよ。

「今、渡辺を前にしたら酷いこと言っちゃう。だから、私はもう帰る。わかってるから。渡辺が私達のために色々考えてくれてたの。だけど、今はごめん。話を聞く余裕がない」

「うん」

渡辺と山本さんを背にして、問君を追いかける。そう、遠くに行ってないといいけど。

山本side

問を追いかける彼女を見送り、隣で落ち込む親友を見上げる。

「もう、何やらかしたのよ」

「俺のせいなんです。問と斎藤が焦ったくて、問が告るのを躊躇してたから焚き付けようとして。でも、要らぬお節介でした。結局、問は勘違い。そして、斎藤を怒らせた。本当、俺ってポンコツです」

成る程。でも、僕だって同じ立場ならやったよ。それに、こうちゃんは僕の為でもあったんでしょ？
僕は、斎藤ちゃんが好き。どんな仕事でも、楽しそうに誰かの為にと頑張る姿。大人っぽい彼女が、好きなものを前にした時だけ年相応の女性になる姿。上げ出したらきりがないほど、彼女が好き。
でも、振られるってわかってる。だって、目線はいつも問にしか向いてないから。だから、こうちゃんに言ったね。早く付き合ってくれないと、吹っ切れない。なんて。こうちゃんは優しいから、お互いのために焚き付けようとしたんだってわかるよ。

「ごめんね、こうちゃん。僕のせいでもあるね」

「いや。俺が不器用だから。上手く、出来なくて」

「こんなこと、上手に出来る人の方が少ないよ。
　ありがとう。応援、してくれてて」

「俺、ずるい奴ですよ？山本さんだけじゃなくて、問も応援してたし」

「それでも、こうちゃんは心強い味方だったよ。
　本当に、彼女を好きになってよかった」

僕からのお願い。どうか明日は、恋人として2人がオフィスに訪れて欲しい。大好きだった人と可愛い後輩の2人が。