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問side


「斎藤さんと仲良くしたいんです。その、伊沢さんやこうちゃんとかとは一緒に居る歴も違いますし、唯の先輩後輩ですけど。でも、斎藤さんがいやなら大丈夫です。さっきの話はなしで」


意気地なしだな、僕は。今のは、告白できるチャンスだった。もう、この人の前だと考えてたことが消えてしまう。


「い、や、、、じゃないよ。全然、嫌じゃない。
 私も、その、問君と仲良くなりたいです//」


ダメだろ、そんな顔。顔を赤くさせて、上目遣いで見つめてくるなんて。益々、惚れてしまう。


「すみません。隣に近づきますね」


うわー//
近いっ!机越しとかじゃなくて、何も無い状態で近づくなんて初めて。斎藤さんって身長高いけど、やっぱり女性だな。華奢で細いし、何よりも柔軟剤の優しい香りに心地良くなってしまう。


「いいよ〜」
(こんなに近い問君、初めてだ//
どうしよう。走ってきたから汗臭くないかな?今日の私、ちゃんと綺麗かな?メイクとかヘアセットとか崩れてないかな?歌なんかに集中できない///)


それから僕達は、イヤホンを片耳ずつ使いながら洋楽を聴いた。途中わからない単語や、聞き取りづらかったフレーズは斎藤さんが教えてくれた。相変わらず、発音が素晴らしい。


(私、幸せだな。ずっと、このままがいい)


名残惜しいけど、伊沢さんから許された時間が終わろうとする。次、いつこうやって会えるかも分からない。でも、それでも今日一日で距離は縮まったはず。


「斎藤さん。時間ですね」

「そうだね。ありがとう、お菓子。とっても美味しかったよ」

「本当ですか?
 それは良かったです。作った甲斐がありました」

「本当にありがとうね。とっても嬉しかった」


2回だ。今日は、2回も喜んでくれた。その笑顔が素敵で、もっと見せて欲しいと願ってしまう。だめだな、僕は。もっと斎藤さんを独占したいなんて、最低な事を考えてしまう。


「また、作ったら食べてくれますか?」

「!
 勿論だよ!問君が作ってくれたのなら、どんな物でも嬉しい」


これはただの口約束かもしれない。けど、そうしないと次に斎藤さんに会うことも話すことも出来ないかもしれない。ずるいかもしれないけど、これで終わりにしたくない。もっと貴女のことを知る為にも、これぐらいいいよね?

先に撮影部屋から出ていく斎藤さんを見つめ、ボソッと無意識に言葉が溢れた。


「好きだな」


毎日積もるこの気持ち。苦しいくらい、大きすぎる気持ちだな。

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神影(プロフ) - 山本さん・・・ぐすっしくしくしく (3月27日 1時) (レス) @page21 id: 690f341ea7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鳩原色 | 作成日時:2023年4月6日 23時

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