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fkr side
河村からの無言電話。電話どころか滅多にLINEも返さない彼がかける無言電話は、１つの意味をなす。
俺は黒い服に着替えると、河村の家へ向かった。
「河村、入るよ」
アパートの三階。彼は中に居るときに鍵をかけない。返事も待たずに突っ込むと、突き当たりの部屋で倒れている華奢な体を見つけた。
「ったく、懲りねぇな」
彼をソファに乗せる。ソファにも血がべっとりついていたからもともとここで寝ていたのだろう。
救急セットで左腕を止血。今日の傷は一段と深い。
散らばっている刃物を整頓してふぅ、と息をつくと靴下が濡れた感触。下を向けばそこは血溜まりで、周りにも鮮血が散乱していた。
河村は時々こうなることがある。
彼は頭がいい。だからこそ、普通は見えない景色が見えてしまう。
まるで、神様のように。
精神的に追い詰められた彼は、やがて自らの体で体現することによってそれを吐き出す。
朱いテーブルの真ん中に置いてあるのは２つのグラス。両方とも赤黒い液体が入っているが、月明かりに透かすと片方だけが綺麗に透き通った。
透き通ったグラスをテーブルに置き、もう１つのグラスに口をつける。
少し固まったものと生臭い鉄の臭いが鼻に抜けた。
「,,,んぁ」
「あ、河村起きた？」
「,,,ここ、どこ」
「残念ながら地球」
そういうと彼は少し目を見開く。そしてふらりと立ち上がると、テーブルに置いてあったワインボトルを持って投げつけた。
がしゃん、と音がして赤と朱が交差する。
俺の右腕からはぼたぼたと赤が滴っていた。
「ッなんでだよ!!!なんで、死なねえ,,,」
「河村、俺は」
「もう嫌なんだよ!!!毎日毎日人様の顔を伺って生きて、自分がどんどん埋もれていって,,,
神様なんていないよ。高学歴がいい生活してるなんて幻だよ。なんで俺はこんなに,,,気づいてるのにッ,,,」
「河村、俺は絶対お前を離さないから」
「どうだか。人間なんてすぐ心変わりする。すぐ平気で嘘をつく。お前だって,,,俺だって,,,」
そのままそこに崩れ落ち、やがて彼は眠ってしまった。
彼は人より頭がいい。そして人より敏感で、そいつ自身が気づいてないことまで見えてしまう。
まるで、神様のように。
さっきの言葉、たぶん俺は言い返せない。彼を手放すことは決してないだろうが、それ以外となると,,,
はぁ、とため息をついて、グラスを二本とも煽る。
床で血涙を流す彼を抱き締める。
神様が緋色から解放される日は、訪れるのだろうか。
fin
REAL SMILEーymmt×sgiー→←神は緋色を身に纏うーkwmr×fkrー
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颯楓(プロフ) - 笹さん» わああありがとうございます!!!嬉しすぎて溶けそうです笑ちまちま更新ですがよろしくお願いします！ (2020年8月18日 6時) (
レス) id: 0a39adce2c (このIDを非表示/違反報告)
笹 - 初めてコメントを書かせていただきます! タイトルの付け方から本文までインテリジェンスが溢れてますね(( ymmtさんとko-chanのヤンデレが特に好きです! これからもぜひ作品を読ませてください!長文失礼致しました。 (2020年8月17日 22時) (レス) id: a74edc1ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯楓 | 作成日時：2020年8月9日 14時
