小鳥の雛を見捨てることは罪か否かーkwmr ページ3
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ザーザーと音を立てて雨が降る。少し大きめの傘を持った僕は、最寄り駅までゆらゆらと歩く。
通勤時に通る公園には誰もいない。錆びた遊具からぽたぽたと水が滴る。
その小さな水溜まりの中に違和感を感じて、僕はしゃがみこんだ。
ずぶ濡れになった小さな鳥の雛。多分燕だ。ここらは住宅街で人が多い一方緑は少ない。風切羽はある程度伸びているから、恐らく巣立ちしたあと虫を捕るためにここまで来たのだろう。
「,,,はて、どうしたもんかな」
法律に基づいて考えたら放っておくべきだろう。でも放っておいたらこの雛は間違いなく死んでしまう。
そこまで考えてから、ふと昔のことを思い出した。
小学生の頃、歯医者か何かの帰りに雀の雛を拾った。その雛はまだ羽も生えかわってなくて、夏だったから照り返しも酷かった。母親も了承してくれて家に連れて帰った。純粋に野鳥を観察したかっただけな気もする。
結論からいえば、その雛は死んだ。
夏の太陽に焼かれて衰弱しきっていて、家で必死に冷やして水を与えたがそれが却って致命的となった。
僕の手の中で小さく痙攣して果てた命は、辛そうな顔をしていた。
また別の時、確か高校生。受験までもう少しって位の時期に、塾から帰る途中の歩道に何か転がっていたことがあった。
よく見てみたらそれは自転車に轢かれた鳥だった。片方の羽は引き潰されて地面とほぼ同化していた。手より少し大きな鳥。
僕は少し迷って、それから鳥を拾って近くの人様の畑にそっと置いた。
地面に寝かされた鳥はじっとこちらを見ていたが、僕はそのまま帰った。
翌日、その鳥は死んでいた。
あれが最良の選択だったのか、僕は今でも分からない。
病院に連れてった方が良かったのか。何も見なかったフリをすれば良かったのか。
あの鳥たちはまた、飛びたかったんだろうか。
高く、高く飛び立てるその翼を動かしたかったのだろうか。
僕には何もわからない。自分の願いも分からないのに、誰かの願いなんて叶えられるはずがない。
迷った末、僕はハンカチで雛を拭くと、トンネル型の遊具の中に置いた。
「,,,じゃあな」
頑張れ、もまたね、も違う気がして、僕はそう声をかけ、そのまま家に帰った。
それ以来、僕は通勤の道を変えた。なんとなく、公園の横を通るのが嫌で。
雛の消息は知らない。知らなくていい。
夏の暑い日。空を見上げた僕の横を、何か咥えた野良猫が通りすぎた。
ーーー
鳥の件は知人から聞いた話だったり。
アイノシルシーymmt×k-chanー→←手枷、足枷ーymmt×sgiー
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颯楓(プロフ) - 笹さん» わああありがとうございます!!!嬉しすぎて溶けそうです笑ちまちま更新ですがよろしくお願いします！ (2020年8月18日 6時) (
レス) id: 0a39adce2c (このIDを非表示/違反報告)
笹 - 初めてコメントを書かせていただきます! タイトルの付け方から本文までインテリジェンスが溢れてますね(( ymmtさんとko-chanのヤンデレが特に好きです! これからもぜひ作品を読ませてください!長文失礼致しました。 (2020年8月17日 22時) (レス) id: a74edc1ff9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：颯楓 | 作成日時：2020年8月9日 14時
