敵は本の先にあり。[ini] ページ5
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私は、いつも片手に本を持っている。
休憩時間やお昼、少しでも空いた時間は本を読んでいる。
否、読んでいるフリをしている。
それは何故かって？
「…あの、乾さん」
「ん？」
「その…視線が痛い、です」
隣のデスクに座る乾さんの視線から逃れるため。
「その本そんなに面白い？」
「もちろん面白いです」
「かれこれ5分はページ進んでないけど？」
「それは！」
「それは？」
こんな状況になってしまったのは、完全に私のせいと言えば、私のせいではある。
幼い頃から、人と関わるのが苦手で本の世界に逃げていることの方が多かった。だって、本を読んでいれば誰も話しかけてこないから。
それがいつしか、その本を盾に人間観察を楽しむようになった。
私と同じタイミングでこの会社にやってきた乾さんは、とても不思議な魅力を放つ人で、私の人間観察のターゲットとなった。
そしてバレた。
彼いわく、彼は私のことを前から学校で見かけていたらしく、私もまた彼の何かのターゲットとなってしまっていた。
「Aさんはいつになったら、その本無しで話してくれるようになる？」
「乾さんが別の方向に意識が向いていれば可能ですよ、多分」
「それだと、めちゃくちゃ失礼な奴じゃん」
「それくらいが丁度いいです」
“ふーん”と呟きながら、乾さんの視線はパソコンへと戻って行った。
乾さんからの視線を感じなくなると、私の視線は乾さんの方向へ向いてしまうわけで。
正直美しいという表現があっている気がするその横顔に、どうしても吸い込まれてしまう。作業を進めながら、時折クスッと笑っている所が見れた日には、ちょっぴり気分が上がる。
今日も例には違わず、フフっと乾さんは笑う。
「やっぱりさ」
唐突に乾さんは呟く。
「結局こっち見るなら、コレは没収ね」
私の手に収まっていたはずの本は、いとも容易く乾さんの手に。
「な、､」
「俺はAさんとお話したい。だから、お話する代わりにAさんは、俺のこと見てよ」
「目が、合うのは、苦手です！」
「いつも見てるのに？」
「そうですけど…」
「ま、慣れる慣れる」
この一件以来、声をかけられると同時に本は回収されるようになってしまった。
乾さんの本心は、私にはまだ分からない。
可愛い子には菓子をあげよ。[ko]→←早起きは1杯の得。[ymmt]
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りりぃ(プロフ) - シラユキ。さん» コメントありがとうございます！全て面白いなんて言っていただけて、嬉しい限りです⋆*リクエスト了解致しました。シラユキさんもご自愛ください𓂃◌𓈒𓐍 (9月24日 9時) (
レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ばたこさん» コメントありがとうございます！リクエスト了解致しました⋆*ご期待に添えるよう頑張ります！ (9月24日 9時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ。 - お話全てが面白い短編集を見つけてしまった…リクエストいいですか…mnちゃんのお話を頼みたいです…！できればでいいのでお体に気を付けて頑張ってください！ (9月18日 15時) (レス) @page36 id: fd9c934f53 (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - いつも応援してます！リクエストなのですが、東言さんのお話みたいです、！更新ゆっくりで大丈夫です！！ (9月18日 11時) (レス) id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！ものすごく嬉しいお言葉ばかりでニコニコが止まりませんでした*°今は少し忙しくまばらな更新になってしまいますが、是非お待ちいただけると幸いです！ありがとうございます！ (2023年3月31日 1時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りりぃ | 作成日時：2022年9月24日 16時
