思い出は口ほどに物を言う。[ko] ページ18
.
少女漫画の幼馴染カップルは、だいたいの確率で小さい時に結婚を仮約束している。
「なんじ、すこやかなるときも、やめるときも、せんせいを、あいすことを、ちかいますか!」
「はい!ちかいます!」
「もー、照れちゃうなぁ」
うらやましいなってずっと思ってた。
だって私の初恋である幼馴染は、そんな約束なんてしてくれなかった。
「こーちゃん飽きた!」
「後ちょっとじゃん!結婚式ごっこの最後はブーケトスするんだよ!」
「はいはい」
何故か、先生とアイツの結婚式ごっこの牧師さんをした記憶。
どれだけ考えても、年数を重ねても、可愛い思い出に消化できない辺り、私もまだまだ大人になれないらしい。
そんな今は大学2年の秋。
朝から昔の記憶を引っ張り出すような夢で目覚めたせいで、心の中は少しモヤモヤ。
幼馴染なんていうと聞こえはいいけど、正直中学生になったあたりから、会話を交わした記憶がないほど疎遠になった。
高校はしっかり離れ離れ。
だから知らなかった。
アイツが東京の、しかも最難関大学に進学していたことなんて。
「ヨーロッパ史の棚は……………ここだ」
今季の授業を、割と余裕のある時間割を組むことに成功した私は、夏休みの終わりがけから図書館に入り浸るようになった。
もともと本に囲まれることが好きで、久しぶりに本の虫としての本領を発揮していた。
「んと、、、あれか。」
1番上の棚に見つけた目当ての本を取るべく、周囲を見回す。
あ。
同じ列で足台を使っている人を発見。
その人が本を取り終わったのを見計らい声をかける。
「あの、もし使わないようでしたら、足台お借りしてもよろしいですか?」
「はい全然!どうぞどうぞ…」
「ありがとうございます……?」
その人が手にもつ足台を受け取ろうと、私も手をかけるが、一向に離してくれる気配がない。
何?
「Aちゃん?」
「そうです、けど…どちら様でしょうか?」
学科にも居ない。
同じ授業でも見たことない。
そもそも東京にいる知り合いの男の人は、ほとんど居ない。
「あのさ、覚えてない?渡辺航平、よくこうちゃんって呼んでて…」
「こうちゃん、はもちろん知ってます。でもまさか」
「いや、マジで!え!俺こんなとこで会えると思ってなかった!」
“ヤバ!いつぶり?”なんて興奮気味で捲し立てる目の前の人は、私が知っているこうちゃんよりも、
随分背が伸びて
かっこよく
大人になっていた。
287人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りりぃ(プロフ) - シラユキ。さん» コメントありがとうございます!全て面白いなんて言っていただけて、嬉しい限りです⋆*リクエスト了解致しました。シラユキさんもご自愛ください𓂃◌𓈒𓐍 (9月24日 9時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - ばたこさん» コメントありがとうございます!リクエスト了解致しました⋆*ご期待に添えるよう頑張ります! (9月24日 9時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
シラユキ。 - お話全てが面白い短編集を見つけてしまった…リクエストいいですか…mnちゃんのお話を頼みたいです…!できればでいいのでお体に気を付けて頑張ってください! (9月18日 15時) (レス) @page36 id: fd9c934f53 (このIDを非表示/違反報告)
ばたこ(プロフ) - いつも応援してます!リクエストなのですが、東言さんのお話みたいです、!更新ゆっくりで大丈夫です!! (9月18日 11時) (レス) id: 2432bd82c3 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます!ものすごく嬉しいお言葉ばかりでニコニコが止まりませんでした*°今は少し忙しくまばらな更新になってしまいますが、是非お待ちいただけると幸いです!ありがとうございます! (2023年3月31日 1時) (レス) id: 25bf53f7a7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りりぃ | 作成日時:2022年9月24日 16時