クンツァイトの慈愛【QK】 (ページ4)

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仁　　愛ページ4

kwkm side.

思ったより人が多い。多いってもんじゃない。
時刻は既に今年が終わる5分前を指していた。

2019年、まぁなんだかんだいい年だったなと人に揉まれながらも思考を巡らせる。
須「おーい、こっちのほうがいいぞ」
人が若干少ないスペースに手招きされ、すみませんと周りに謝りつつ須貝さんのもとへ向かう。今か、今かとスクリーンに映し出される時計にみんな釘付けになっている。

今年が終わるまであと2分。

ただ年を越すだけなのにこうもお祭り騒ぎになるのはなぜなのだろう。少しだけ疑問に思うが、その騒ぎに便乗してる自分もまた惨めだな、と呆れてしまう。
伊沢さんが言ってたっけな。日本人が祭りが好きなのは、祭りの主役が神様であるからだと。
祭りというのは神様を祀り、そわそわしたりワクワクしたりするのは神様と通じ合っているからだと。これは昔から日本人として生まれてきた遺伝的なものではないかと。そんな雑学が正しいかどうかなんて知らないが変に納得してしまう自分もいた。
伊「あと30秒！」
伊沢さんも河村さんも大きな声で周りに便乗するようにカウントダウンを始めていた。
須貝さんは誰よりも声を張り、周りにいる人を盛り上げているように思えた。

スクリーンの横にあるお立ち台が気になる。
あと15秒、ゾロゾロとお立ち台に登る有名YouTuberに歓声が上がりカウントダウンはさらに加速し大盛り上がりになる。

『ハッピーニューイヤー！』
そう叫ぶ彼女は、そう。我々がここに来る目的となった彼女であった。