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顔が熱くなるのを感じて視線を下げると、彼の指が私の頬を撫でた。
『っ、』
「さっき“ただいま”って言ったよな?」
なんて言って、狡いくらいに格好良く口角をきゅっと上げる拓司。
こんなすぐバレるとは思ってなかったし、浴衣着てるなんて逆サプライズも予想してなかったけど。
図星だった。
愛が重たくなってしまいそうで、まだまだ先のことだと言い聞かせてた“結婚”の二文字がなんとなく現実味を帯びてきたような気がして。
ちょっとでも伝わればと思って口にした“ただいま”。
……それを、こんなに喜んでくれるなんて。
「俺と、結婚するってことだよな?」
『っ、ふふ、うん!』
頷いて見せるとくしゃっとあどけなく笑って、“プロポーズはまた今度。”と言い私の手を握った。繋がれた手から伝わってくる体温が心地良くて、ぎゅうと握り返すと幸せに包まれたような気がした。
「お祭り、しよっか」
『うん』
「…買いすぎてない?」
『ちょっと、ね?』
「ちょっとじゃない気がするけど…片手じゃ持ちきれないから後持って」
廊下に置いてた沢山のご飯が入ってる袋に右手を伸ばして部屋の奥へ進む拓司。彼の左手は私と繋がっていて、下駄を脱いで上がると持ち切れなかった袋を持って彼の方へ駆けて行った。
繋いだままだから少しの距離だけど、嬉しそうに迎えてくれる彼が可愛くて。
リビングへ向かうとテーブルに並べきれないくらいのご飯と美味しそうな匂い幸せに包まれてゆっくりと時が過ぎるのを感じた。
これからも、隣でずっと。
幸せをわけあっていようね。
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hold hands
[手を繋ぐ]
―― この手のぬくもりだけで
いくらでも強くなれる
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作者名:遊馬 | 作成日時:2020年6月13日 21時