大好きな つづきともしも。【川上】

つづき。 3 ページ4

『好みの女の子の髪型ってあります？』

私がそう尋ねると、

「お前がしてるやつ、全部かわいい」

川上さんはこう答える。

他の皆さんも、何でも似合うんじゃない？とか、今が一番だよ、とか。
嬉しくも、少し困る答えばかり。

『だから、ちょっとイメチェンしようと思います』
「それ報告したら意味ないんちゃう」
『あ……』

基本的に川上さんにはなんでも言っちゃう癖のせいで、びっくりさせることは叶わなそう。

「ま、お前ならなんでも似合う」
『そんな信頼されても……』

なんでも、と言う割に、その日の川上さんはいつにも増して私の髪の毛を名残惜しそうに触っていた。


次の日。
鎖骨下15cmほどあった髪を、顎ラインのボブまでばっさり切ってもらった。
髪色は前より少し明るいブラウンで、ハイライトを入れた。
少しはイメチェンになったのでは？と思う。

『こんにちは』

少し緊張してオフィスに行くと、いつものように挨拶を返そうとしてくれた皆さんが一気に固まった。

「え、Aちゃん短いの超似合うじゃん」
「わ、かわいいね。びっくりした」
「イメチェンですか？お似合いですよ」
「えっ、片口さんですか！？ま、まぁ、似合ってますけど……びっくりしたぁ」
「えー！Aちゃん、髪切ったの！めっちゃかわいいね！！」
「えーーー！もったいねー！！でもかわいいーーくっそぉーー！」

みんなおのおの、らしい反応をしてくれた。
その中で、髪を切ると伝えていた川上さんの反応は薄く。
いつも甘々な川上さんにしては、ちょっと怒ってるのかな？ってくらい、塩対応だった。

だがしかし、二人きりの帰り道。
しゅんとして隣を歩く私を見て、彼は不機嫌そうな顔で言う。

「……正直、俺長い髪好きなんよ。やから絶対長い方かわいいやんって思ってて」
『あ、はい……』
「のくせさ、お前短いの、死ぬほどかわいいやん」
『え』

唇を尖らせる彼の顔をよく見る。
あ、これ、照れ隠しの顔だ……。
川上検定一級所持の私として、これが見抜けなかったのはかなりの失態だった。

「かわいすぎて悔しいし。何でAなにしてもめっちゃかわいいんよあほ」
『……好きです……』
「俺の方好きやばか」

＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿

本編と合わせ、800人以上もの方々にお気に入り登録していただきました。本当に感謝です。

これからも皆様の夢のひとつを表現できますように。

もしも。sgi→←もしも。ymmt

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す