TWINKLE STAR/fkr ページ8
TWINKLE STAR/NEWS
(fkr side.)
少しの肌寒さにも慣れてくる頃、外に出れば爽やかに澄んだ空気が頬を掠め、僕はそろそろコートを出さないとなと他愛もない事を考えながら、【ほしぞら科学館】と書かれた建物の入口でチケットを購入する為の列に並んでいた。
今日は動画に必要な情報収集の為にこの科学館を訪れたのだが、平日にも関わらず辺りはカップルや家族連れで賑わっている。
無事に1人分のチケットを購入して館内へ足を進めると、高い天井には太陽系を模した天体のオブジェが訪れた人を歓迎するように吊るされていた。
順路に沿って宇宙の始まりや地球の誕生についての様々な展示物を見ていく。
丁寧な解説付きの写真や模型はどれも美しく、僕はそれを夢中になって眺めていた。
fkr「うわっ」
『きゃっ』
展示物に気を取られて、すぐ近くに人がいることに気づけなかった。
ぶつかって尻餅をついた女性に慌てて駆け寄って手を差し伸べる。
fkr「すみません!余所見してて…」
『私も前見てなくて…すみません』
顔をあげた彼女の瞳は、まるで銀河に散りばめられた星々の輝きを閉じ込めたように綺麗で、思わず吸い込まれそうなほど目を奪われた。
『いててて…』
fkr「すみません…大丈夫ですか?」
『あっ、大したことないので大丈夫です
こちらこそすみませんでした』
fkr「写真に夢中になってしまって
前を見ていませんでした…」
『この写真ですか?本当に綺麗ですよね…』
立ち上がった彼女は、すぐ横に展示してある宇宙の写真に再び夢中になった。
『これ、実際にここの天体望遠鏡から撮影された、遥か彼方の遠くの宇宙の写真なんです』
うっとりとその宇宙に思いを馳せる彼女の横顔はとても美しく、僕はすっかり視線を奪われてしまった。
『私、この写真が1番好きなんです。
何度来ても不思議な引力にひっぱられるみたいに
この写真に夢中になってしまって』
fkr「なんとなくわかるかも…
僕は初めて来たんですが思わず目を奪われました」
僕の言葉にでしょ?と満足そうに微笑む彼女。
その姿があまりにも綺麗で、
fkr「本当に美しいです」
彼女の笑顔に向けた言葉を、宇宙に隠した。
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作者名:qk15gabriel | 作成日時:2022年11月28日 3時