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カシスオレンジ/izw ページ1

カシスオレンジ/Laughing Hick

夕日の差し込んだこの街が、背の高いビルの影を落として、次第に暗くなっていく。
足早に通り過ぎる彼らは誰かの待つ家に帰っていくんだろうか。
貴方と離れてどれくらいの月日が経ったのだろう。

カシスオレンジ

『拓司、今日お休みなのに何処も出かけなかったしさ、前言ってたディナー食べに行こうよ！』

私はソファでくつろいでスマホを見つめている彼に声をかけた。

「え～、今から出かけんの？お家デート楽しいじゃん」

『もう…、そんなこと言っていっつもお家デートじゃん！』

むすっとした私の顔を見て、拓司がご機嫌を取ろうと私を抱き寄せる。

「家デート嫌い？俺はAとくっつけて好きだけど」

私を抱きしめたまま、声のトーンを落として耳元で囁く。
これが私の弱点だと知ってからはいつも、彼はスタートの合図のように甘い言葉と口付けを優しく耳に落とすのだ。

「ほら、おいで。ベッド行こう」

いつもそう。
私が不機嫌になるとこうやって大切そうに私を抱いて、そこからは何も考えられなくなるの。

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