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当の川上さんと言えば。
「なあ、終わった?はやく」
『あ、はいはい、すみません』
カメラが止まるのと同時に、画面外から私を招く。
私の横にいたらカメラがあろうが触ってしまうとか言い出したので、しばらくお預けしていたのだ。
子犬みたいな目をした彼から、ちょっと待っててくださいね、と離れるのは精神修行のようだった。
「……あー、おちつく」
『ごめんなさい、お待たせしちゃって』
「んーん」
ぎゅう、と私に抱きつく彼は、相変わらず暴力的にかわいい。
部屋の端でいつもの光景を繰り広げている私たちの横に、須貝さんが座った。
「あーあー、今日もイチャイチャして。お兄さんうらやましいよ」
「あげませんよ」
「誰も取りゃしませんよ〜」
快活に笑う須貝さんが、ね?と私の目を見る。
__実は、今日私の耳には、彼に貰ったイヤリング。
何もやましいことはないのだが……ちょっといけないことをしている気分。川上さんごめんなさい。
すっかり相談相手になっている河村さんにその話をしたのは、2日後のオフィスだった。
「別にいいんじゃないですか?貴女の心が川上にあるのは嫌でも分かりますよ」
『そうなんですけど……私だったら嫌なんです。川上さんが他の女の子から貰ったもの身につけてたら』
「……なるほど」
川上さんはさぞモテるだろうと思う。
かっこいいし女子ウケする容姿だし、近付いてみると優しくて紳士的で。
お付き合いを初めてから女の人の影を見たわけじゃないが__元カノから貰ったピアスとか付けてたら、それは嫌だ。
「僕はあいにく女性の気持ちに疎いのでよく分からんのですが、川上は一途なやつですよ」
『それは分かってるんですよ〜』
「__だ、そうですよ。川上」
え。
嫌な予感に任せて後ろを振り向くと、案の定噂の彼が立っていた。
こういう場面、背後に立たれたら流石に気付くだろ、といつも思っていたが、案外分からないものだ。
「……何の話?」
「じゃあ後は2人で。人の恋路を邪魔するものは馬に蹴られて何とやらってね」
『ええ、河村さん……』
何やら決め台詞を残して去っていく河村さんが居た場所に、川上さんが腰を下ろした。
「で、何の話?」
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時