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「あのね、Aちゃん。買い物に付き合ってくれない?」
ナイスガイこと須貝さんにそう頼まれたのは、7月の暮れのことだった。
須貝さんの頼みなら、と川上さんもしぶしぶ了承してくれ、約束したのが今日。
「短いスカートは履くな」と彼氏様に釘を刺されたので、膝丈のワンピースを着て、駅に向かう。
『すみません、お待たせしました』
「……!いや、こちらこそごめんね、休みの日に」
須貝さんは、いつもの調子で私の頭を撫でた。
位置がちょうどいいのだ、と言って、よくこうしては川上さんに睨まれている。
「ごめんな、こんな可愛くしてきたのに。隣にいるの川上くんじゃなくて」
『えええ、大丈夫ですよ』
須貝さんもいつも通りかっこいいです、と伝えると、ナイスガイだからね、とよく分からないことを言う。
『今日は何を買うんです?』
「実はね、妹へのプレゼントなんだけど__」
彼いわく、五つ下の妹さんが、この秋に結婚するらしい。結婚祝とは別に、何かアクセサリーなどをプレゼントしたい、と言う。
『いいお兄さんですね、須貝さん』
「でも、女の子が喜ぶものが分からんのよ」
『妹さん、普段の服装はどんな感じですか?』
妹思いのお兄さん。何だか可愛く見えた。
絶対に役に立ちたくなって、私は気を引きしめた。
二時間ほどでいくつかのアクセサリー屋さんを探索し、華奢めのネックレスを選んだ。
妹さん、喜んでくれるといいなぁ。
「今日ありがとうね、Aちゃん。妹に、後輩の彼女に選んで貰ったって伝えとくわ」
『いえいえ。おめでとうございますとお伝え下さい』
「うん、__あ、そうだ。これ、今日のお礼」
そう言って彼が取り出したのは、最後に行ったお店の小さな紙袋。
中を覗くと、赤いリボンのイヤリングが見えた。
私が、かわいいとぼやいた物だった。
『えっ、これ』
「気に入ってそうだったし、似合う気がしたの。須貝さんは推しには貢ぐんだよ〜」
にかっといい笑顔で、彼は私の頭に手を置いた。
『ありがとうございます、嬉しいです』
「いやーよかった。川上くんには秘密だかんね」
じゃあ、と手を挙げるナイスガイに、私は笑顔で手を振った。
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次のお話からは川上さんメインに戻ります。
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りんり(プロフ) - 莉華さん» ですので、莉華さんが良ければ、非表示を解除していただいても私が口出しするものではありません。もし気になる読者様から指摘がありましたらこちらで対応しますので、ぜひ気にせず執筆を続けていただきたいです。ご迷惑お掛けしました。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 莉華さん» 返信が遅くなってすみません。また、わざわざ当作品を読んで下さり、対応ありがとうございます。私自身当作品が大して独自性のあるものとは思っていませんし、似たような作品ならむしろ読みたいくらいです。(↑続きます) (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - yukiさん» 返信がたいへん遅くなってすみません。報告、ありがとうございます。 (2020年6月28日 23時) (レス) id: 5d8255529d (このIDを非表示/違反報告)
莉華(プロフ) - yukiさん» 当事者です。この作品のことは全く存じ上げておらず、作品を作成しておりました。りんり様のこちらの作品を読ませて頂きましたが、自分でも凄く似ているな、と思いました。当該の作品に関しては非公開という形にさせて頂き、修正致します。大変申し訳ございません。 (2020年4月25日 20時) (レス) id: 907e72034e (このIDを非表示/違反報告)
yuki - すみません。似たような作品が作成されていますよ。(莉華様の「川上さんが甘々なんですが。」という作品です。) (2020年4月25日 0時) (レス) id: e5bfab260f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんり | 作成日時:2019年1月26日 22時