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少女漫画のように家が隣同士、という訳ではなく少し歩かなくては行けない山本さんの家。
久しぶりなので少し緊張しながらインターホンを押す。
「はい」
ぱたぱたと軽やかな足音が聞こえて、扉が開く。
山本さんは私の姿を見ると懐かしそうに目を細めた。
久しぶり見る彼はやっぱり格好良くて、もうちょっとお洒落な格好してくれば良かったかな、と後悔する。
「ひさしぶり。お母さんに頼まれて肉じゃが持ってきた」
「ありがとう」
タッパーを受け取った彼は少し考えるふうにして
「久しぶりだし良かったら上がっていく?」
お茶くらいなら出せると思うけど、と言う彼の言葉にこくりと頷いて家に上がらせてもらう。
廊下で山本さんはタッパーの中身を見て
「肉じゃがだ、僕Aちゃんのお母さんの肉じゃが好きだな」
好き、という言葉に少し反応してしまいそうになりぐっと堪える。
好きな人の「好き」という言葉の破壊力って半端じゃない。
「座ってもいい?」
「ごめんね立たせっぱなしで、どうぞ」
リビングのテレビの前のスペースは昔から私が遊びに来た時の定位置で、そこに座る。
「Aちゃん、大人っぽくなったね」
「本当?」
ずっと彼に似合うような大人っぽい雰囲気を目指していたので、その言葉だけで全部が報われた気持ちになる。
「うん、背も追い抜かされそうだし」
「山本さん小柄だもんね」
会えなかった時間を埋めるように、他愛のない話が尽きなかった。
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ちょこ(プロフ) - ゆずりはさん» 一気読み…!?私の短編集かなりの量あるのに…!!こちらこそありがとうございます…! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 87290c21e3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - ちょこさん» ちょこさんの短編集、すごく好きで春休みに一気読みしてたので本当に嬉しいです…!ありがとうございます。 (2020年3月29日 17時) (レス) id: 85784e0324 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ(プロフ) - 1話目から引き込まれ一気読みしてしまいました…!!すごく素敵でそれこそ心がぽかぽかするようなお話ありがとうございます!これからも楽しみにしてます! (2020年3月29日 11時) (レス) id: 87290c21e3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆずりは(プロフ) - ゆあさん» 変換ミスしていました、ごめんなさい。ご指摘と応援ありがとうございます。 (2020年3月28日 8時) (レス) id: c31ae16b08 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 細かくてごめんなさい、川上さんは「拓郎」ではなく「拓朗」ですよ!いつも作品楽しく拝見させていただいております、これからも頑張って下さい! (2020年3月27日 22時) (レス) id: cc0713ac7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずりは | 作成日時:2020年3月18日 21時