お揃いをもらうまで

いない時だけ ページ11

「これもお気に入りに入れておくか…」

今日は毎日恒例の川上さん何着てるかチェックをしている
いつでもお揃いもしくは色違いのものを買える準備はしておかなくてはいけない

お揃いを買うタイミングはもちろん彼女さんになってからだけどね！
一生そんなタイミング来ないと思うけどね！


「Aちゃん今日もネットでお買い物？」

「お買い物はしてないよ、ただチェックしてるだけ」

「でもさ、そのパーカー可愛いよね」

「やっぱり！？山本くんセンスあるわ」


山本くんがなんとも美味しそうなコーヒーを持って隣に座る


「私の分のコーヒーはございますでしょうか」

「あ、ごめん！これ僕の分しかないや…。でもAちゃんってコーヒー飲んだっけ？」

「川上さんがいる前では飲まないけど、今日はいないから」

「どこまでも徹底してるんだね」

「愛、かな」


苦笑いされたけど私気にしてないよ
その顔すら山本くんは可愛くしちゃうんだから

しかも結局は私の分のコーヒーも淹れてくれるんだね
どこまでいい人なんだろうか


「はい、どうぞ」

「わざわざありがとね」

「いえいえ」


ゆったりまったり

こんなにゆっくりした時間過ごすのは久しぶりかもしれない


「そういえばね」

「うん」

「この間川上さんが、これA好きだから取っておいてって言ってプリン冷蔵庫に入れてたよ」

「ほんと！？」


ダッシュで冷蔵庫を覗くと、なんとも輝かしい210円のプリンがあった


「もー、川上さんったらツンデレなんだから♪」

「なんだかんだでAちゃんのこと好きだよね」

「私はクイズノックの姫らしいからね。ファンの子曰く」

「ちゃんとコメント欄見てるんだね」

「だって、みんなが何分何秒に私と川上さんのツーショットがあるか教えてくれるんだもん。そこずっとリピートできるし、ほんと最高だよね。Twitterのリプもスクショ祭りだから助かっちゃう」

「みんなが味方なんて心強いじゃん」

「でもそれは、あくまでも私がおふざけで言ってる時だけだから」


ああやって、ファンとして好きって言ってる私と川上さんのやり取りを見てるのがみんな大好きなんだってことは知ってる


「…なんか、大変だね」

「そんなもんですよ山本くん」


だから、私は楽しい雰囲気でしか「好き」なんて言わないし、
言っちゃいけないんだ




「それにしてもこのコーヒー美味しいね」

「またゆっくり飲もうね」

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