目眩く色彩

023. ページ26

tty side
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Aの言葉が頭の中で響く。


“東京大学です”？

……東京大学？トウキョウダイガク？Tokyo daigaku？？


「「「はあ！！？！？」」」

「えっ東京にある大学、じゃなくて？」
『東京大学です(笑)』
し「あの赤門の？」
『そうですよ』
ゆ「ええぇや〜ば！」
と「酔い覚めたげ」


ドッキリですらこんなに驚いたことないんじゃ？ってくらい吃驚が止まらない。
え、もしかしてドッキリ？


虫「ドッキリじゃないよ」
「……読心術かや？」
虫「声に出とったわ」


虫さんと俺の掛け合いを見てAがくすくすと笑ってる。
か、かわいい。…じゃなくて。


「え、本当にA東大生？」
『本当ですって(笑)』

“学生証ありますよ”とバッグから取り出してじゃーんと見せびらかしてくる。


学生証には“金澤 A”の文字。
まじの現役東大生やん……。


り「すご(笑) 何学んでんの？」
『専攻は化学です』
「ドクターやん！」
『ドクター…？あ、動画の？(笑) マッドサイエンティストではないですけどね』

り「おい比べんな！ドクターは似非、Aは本物！」
虫「バカ失礼やん(笑)どっちも本物だわ」
『本物も偽物もないですね』


テンポ良く進む会話にAからもツッコミが入る。
こうやって話してると高校の時とそんな変わらんと思うけど、垢抜けた印象と敬語が壁になってる気がする。

…というか、こんなに距離あったっけ。


「としみつ」
と「何？」
「Aって高校んとき こんなだった？」
と「…？」

何言ってんだこいつ？みたいな顔で見られた。絶対前まではもっと身近だった気がする。

ゆ「違うよね“てっちゃん”」
「だよな！？そうだよな！」
『なんですか？』
「高校ん時俺の事てつやさんって呼んでないだら」
『え？…ああ、確かに』


顎に手を当てて考えるような仕草をするA。ゆめまるがさっき言ってたみたいに、あだ名で呼ばれてたのがなくなったから距離を感じるんだな。


「ね、前みたいにてっちゃんって呼んでよ」
『ええ…？でも、』
「距離置かんで」

俺の言葉に賛同する様に頷いてるメンバーたちを見て、敬語禁止令を言い渡す。


『でも、皆さん年上ですし…』
と「今更気にしんから普通に話しな」
『…はい』


“じゃあ、そうするね”と優しく笑顔を浮かべたAを見て、やっと止まってた時が動き始めた気がした。


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