今日も世界は。 (ページ9)

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9ーf ページ9

いつもの帰り道。
いつものコンビニの前で。

いつか見たスーツの男が、同じ様にバンにもたれて立っていた。

一か八か。

聞くくらいはさ、ただだから。

『あの。』

咥えてた煙草を指でつまむと、

「何か」

低い声が返ってきた。

『どこの店？』

「は？」

『あの人。』

店内を指すと、

「あぁ。教えちゃっていいのかな…」

困った様に髪をかき上げると、

「FAIRY TAIL。みかって名前のまま」

『教えてくれてありがとう。』

「お待ちしてます」

ぺこりと頭を下げた。

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おかしいんだもん。

だってさ。
彼女が住むにはほら、ここ家賃がさ。お高めかなーと思うんだよ。

誰かと一緒に住んでるなら納得だけど、早朝に行っても深夜に行っても働いてるし、しかもあのスーツの男が謎だったし。

お酒飲めるお店とかのウエイター君とかさ、そうゆうのだろうとは思ったけど。
やっぱりそうだったよね。

もしそうなら、見たいと思ったの。
彼女のもう１つの顔。みたいなやつ。

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・

たまに使ってたのに、気づかなかった。

あの日、たまたま彼女のレジで。

いつもよりちょっと多く買い物して、袋に入れてもらって。
目が合った彼女が、何かに驚いて。

いつだったか、彼女が開いてた雑誌に自分が載ってた。

それで、もしかすると誰かのファンなのかもしれないって思った。
それだと、驚いたこともそっけないのも、辻褄が合うから。

そう思うと、彼女の反応が面白くて。
店内に彼女が見えると、用もないのに寄るようになっちゃって。

いちいち驚くし、何か聞いても答えてくれないし、それによく見たらめちゃめちゃ可愛んだけど。

誰のファンか知らないけど、それを探るのも面白いかなって思って。ついちょっかい出しちゃう。

『はよ。』

「ひぃゃっ」

ぶはっ(笑)何その反応。

持ってた物ぶちまけるくらい驚くって何ってなるんだけど。マジうける。

一緒に拾おうとしたら、

「いいですからっ」

って怒鳴られた。

おかしいでしょ。
一応客なんだけど(笑)

何か聞こうと思ったのに、目が合った途端咽だして。
とっさに触れた彼女の背中が、想像以上に小さくて。

びっくりしたんだよ

　