7 ページ7
「当落出たね。どう？」
「あー落選でした」
ヲ友達と、結果報告。
「安定のね。自名義生きてるのかな」
「ほんとそれね」
「まあ。復活とか、次回とか、あるし……」
「やめて。泣きそう(笑)」
当選しても落選しても、それは運だから仕方ないんだけど。
でもやっぱり凹むんだよ。
「あーー翔太くんに会いたかった(泣)」
「……うん」
あなたの推しの知り合いに、たまに遭遇します。とは、口が裂けても言えない。
し、言わない。
・
・
・
「みかさん。何かいいことありました？♡」
「別に？」
「え〜だって最近かわいいもん。って言うか前からかわいけど、可愛さが増したな〜って♡」
相変わらずこちらが恥ずかしくなる様なコトをぽんぽん言う佐藤君に、苦笑する。
「………ありがと(笑)」
ピロピロと音がして、
「いらっしゃいませ〜♡」
佐藤君がレジへ向かう。
推しに。
深澤くんに会えたら。
なんて。
何百万回考えたか。
それが、叶うなんて思わなかったし。
叶わないから、いつか。を願ったけど。
『はよ。』
「っ、」
もう、何万回、何百万回聞いた声が。
近くで聞こえる。
『何かごめん(笑)』
「え、」
『いつも驚かしてるみたいだから(笑)』
「ごめんなさい」
『ふふ(笑)』
深澤くんが、笑ってる。
その多大勢に向けて。じゃない。
それとは違う笑い方で。
『今日暑くない？』
「ですかね」
『何だよそれ。』
「店内涼しいんで」
『おねーさん。』
「はい、」
『名前なに？』
「………、」
えーーーーーーーーー。
名前聞かれた。
噂のブラックリストに名前書かれるの？
だとしたら何で？てか何で？
『言わないとかだめだよ(笑)』
「何で？」
『何でじゃないよ(笑)俺の名前知ってるじゃん。』
そりゃそうでしょうよ。
世間に顔と名前晒して仕事してるんだから。
『ごめん。もう聞かない。』
怒った。のかな。
「……、」
『知ってるから(笑)』
「へ？」
『またね。みかちゃん。』
ビニール袋を揺らしながら。
広い世界に。
戻って行った
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 59人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：k | 作成日時：2020年10月18日 17時
