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深夜。
お客さんが誰もいない店内で。
しゃがみこんで、まぁまぁじっくり雑誌を拝見。
「この人の言うコトってよく解らないんだよね……でもす、」
『誰推し？』
すぐ近くで声がして、思わず振り向く。
「きぃゃぁぁあっ」
そのまま尻もちをつくと、
『やめろよっ。強盗だと思われるだろ(笑)』
って、笑って手を出した。
「え……なに、」
『立てる？(笑)』
待って？
もしかして……手を貸してくれようとしてるの？
ムリムリムリムリムリっ。
「……結構です」
『あ、そ。』
すんっと立ち上がると、棚の向こうへ消えた。
驚いて放り投げた雑誌を探すと、深澤くんのページが開いたままになっていた。
今日は、何のお仕事だったのかな。
打ち合わせかな。
雑誌かな。
収録かな。
『ねー。』
……話かけられてる？
『まだ立ててない？』
「あ、いえ」
『今さー。』
「はい、」
『腹減ってんだけど。』
「……、」
棚からひょっこり顔を出すと、
『何時終わり？』
「何で？」
はっ。思わず………
『うわっ。何でって言われた(笑)』
「だって、」
『え、待って？知らない？』
さっきの雑誌を持ってくると、ぺらぺらと頁をめくって、
『この人。』
って、自分の写真を指した。
「………ふかざわ、」
『違うちがうちがう。ふかざわさん。』
「あぁ。ふかざわさん」
『あぁ。じゃないよね(笑)』
「すみません、」
『や、いーの。いんだけどさ(笑)あれ？ごめん。何の話だったっけ(笑)』
ピロピロと入口で音がして、
「いらっしゃいませ。こんばんは」
レジへ向かう。
どこぞのお姉さんありがとう。
あなたが煙草を買いに来てくれたおかげで、
助かりました。
人って緊張しすぎると、命を落とす可能性があるって。今日まで知らなかった。
お会計を終えて、店内を見渡すと。
いつの間にか彼が消えていた。
そういえば。
何しに来たんだろう
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作者名：k | 作成日時：2020年10月18日 17時
