紅い蝶《赤》 (ページ1)

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葉も色づいてきた頃、

〝神山が死んだ〟

先生のホームルームに目を向けず友達とくっちゃっべっている生徒が一気に目を見開き前を向いた。

犯人も見つからず気を付けろよ、とだけ言い黒板に字を書き始める。

静かに教室を抜け、薄暗い非常階段に座る。

いつからだろ。

三人はいつまでも一緒だと思っていた。

いつか、変わってしまったのだ。

屋上に出て、

手すりに寄っ掛かりピンク色のイヤホンをつける。

音楽をかけるわけでもない。

風が吹く度、頬を擦りむき、

智くんはいないのだと、現実を突き付けた。

怖くてしがみついていた存在がひとつなるくらいで、

こんなにも心にポッカリ穴が開くのか、と自分の不甲斐なさに笑うしかなくなる。

智くんの事件は、

〝紅い蝶殺人事件〟

と言われてるらしい。

首を絞められた跡が、

紅く、蝶に似ているらしい。

その紅い蝶は、いつか飛び立つ。