18.女悪魔 ページ20
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私はそっと空気を揺らさないように頭を下げた。
「あなたの、お名前は?」
視線を感じてチラッと隣の彼女を見ればキラキラした目が私を映している。音が聞こえる気さえしてくる。何だかすっごく既視感だ。
「タツバ、です」
目を本へと逸らした。彼女のような可愛げは持ち合わせていない。別に好れようと思ってないのでいいのだが。
「タツバちゃん!入室の時、全部防いでいて凄かったわ!魔術使うの上手ね!」
「…どうも」
後ろが騒がしい中ここはかなり歪な空間が出来上がっていた。イクスさんは私の方を穴が空くほどじーっと見ている。やっぱりすごく既視感を感じる。
「その本、面白い?」
急な質問にえっと声を漏らした。
「いえ、面白くないです」
「えっ?」
拍子抜けしたような顔をされた。
「…内容は面白いですが、知り合いからネタバレされてしまって」
そう、ネタバレ。ストーリーを読む上で最も避けなければならないネタバレを食らっているのだ。
「それなのになぜ読んでいるの?」
「せっかく買ったんで。一応1回は全部読んでおこうと思って」
彼女は目を見開いた後、ふふっと笑い目を細めた_その瞬間
バアァンッ!と壊れんばかりの音が響いた。
「喧しいぞ貴様らッ!!外まで丸聞こえだッ!もっと粛に出来んのか!!」
勢いよく空いた扉の音が耳に刺さった。腰を捻って胴部を扉の方向に向けるとかなりイライラしている様子のカルエゴ先生が立っている。
「あら?カルエゴ卿が担任されるみたいね。ふふっ」
「…」
この
「外へ出ろアホ共!授業を始める」
それを聞き私は読んでいた本をパタンと閉じてリュックに入れた。イクスさんの方を見ると私の事を待っている様だ。…これは一緒に行くやつだろう。
「あ、あのっ私もご一緒していいですか…?」
扉に手をかけると横から女の子の声がした。銀髪でメガネをかけている子がこっちを見ている。
「あら?もちろんよ!仲良くしましょうね!イクス·エリザベッタよ。この子はタツバちゃん」
「よろしくお願いします。クロケル・ケロリです」
2人が盛り上がる中私はじっとクロケルさんを見た。
「…えっと、よろしくね?タツバさん」
目が合ったものの逸らして控えめにお辞儀をした。
「宜しくお願いします」
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qcn3BbinP64p217(プロフ) - はわわ!コメントとリクエストありがとうございますぅ〜!!私も楽しんで頂き光栄です!ロビン先生いいですよね〜すごく。私も好きです。恋愛、頑張って挑戦してみますね!遠い道のりにはなると思いますが、今後ともよろしくお願いします! (2022年11月15日 19時) (レス) id: 99b06f7795 (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - こんにちは!! 面白すぎる、、またロビン先生との絡みも見てみたいです!!(できれば恋愛で)すいません、、、後シュチュエーションとかは作者さんのお任せで、、 (2022年11月15日 17時) (レス) @page47 id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
qcn3BbinP64p217(プロフ) - 猫さくらもちさん» コンメト、及びリクエストありがとうございます!男子組ですね?了解しました。どの部分で登場させようか悩んでいたので嬉しいです!初心者ではございますが、引き続きご声援の方よろしくお願いします。 (2022年7月21日 8時) (レス) id: 99b06f7795 (このIDを非表示/違反報告)
猫さくらもち - リクエストです!ジャズくんやリードくん、カムイくんなどの男子組と絡ませて欲しいです!これからも更新頑張ってください、応援してます! (2022年7月21日 7時) (レス) @page43 id: f692ce80b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶漬けモドキ | 作成日時:2022年5月24日 23時