−２.過去話 ページ5
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十五歳になる年というのは節目の年。
令嬢達は社交界へのお披露目のため舞踏会などを開き、そこで初めて一人前のレディとして社交界への参加が認められる。
そして私もその令嬢という身分の一人なのだ。
確かにあの事件で私の立場は地に落ちたが、それは家庭内の話。
世間からすると私の立場はガルシア公爵家の令嬢なのだ。
しかし、旦那様達が私のために舞踏会を開くわけがなく私は十五の誕生日を一人で迎えた｡
誕生日の次の日に届いた兄からの手紙には、おめでとうのメッセージと私が来年入学予定の学園のことなどが書き記されていた。
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清楚なすずらんを見て、A様を思い出し、筆をとりました。お元気でいらっしゃいますでしょうか。
とまあ、堅苦しいのはここまでにしよう。
Aはこれが届く頃にはもう十五になっているだろう。おめでとう。もう十年も会えていないな。
しかし、来年にはお前も学園に入学するんだよな。
此方は面白い奴が多いし、俺は楽しい生活を送ることができている。
来年には生徒会長に立候補するつもりだ。
Aが此方に来たら紹介したい奴が沢山いる、
それに俺が側にいなかった間のお前の話をお前の口から聞きたい。
楽しみにしているゾ。
グルッペン・フューラー
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久しぶりのあたたかな言葉に胸がいっぱいになって、後もう少しでこの環境から出られると思うとあとちょっと頑張ろうと思う気持ちが湧いてきた。
季節は春から秋に変わり、イザベラ・ガルシアの誕生日がやってきた。イザベラも今年で十五歳。社交界への参加が認められる節目の年。
それはそれは盛大なパーティーが開かれる。
そしてそのパーティーは私のものでもあった。
私の誕生日に私だけのパーティーは開かれなかったものの令嬢が社交界デビューパーティーをしないのは流石にマズいという判断をしたのか、このパーティーは私の社交界デビューも兼ねていた。
つまり、
【イザベラ社交界デビューパーティーwithA】
ということだ。
そして当日。
イザベラはあの事件の前よりも長くなった黒髪をツインテールにしてコテで巻いている。瞳の色に合う淡いピンク色のドレスを身に纏い、今日という日が余程嬉しいのか化粧もしていないのに頬は薔薇色だ。
一方で、私は金髪を後ろで結うだけ。フリルも何もついていない黒いドレスを着ていた。化粧は全く施されていない。
ああ、もうすぐパーティー開始の時間だ。
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作者名：うさぎ大福餅 | 作成日時：2021年5月9日 19時
