【d!】攻略対象、ほっといてほしい (ページ12)

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４.入学式当日ページ12

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早くもきてしまった…入学式当日！！！！

記憶を取り戻したあの日から色々とこの世界を知る手がかりがないか探してみたのだが、収穫は得られなかった。

今までにノア以外の新しく出てきた攻略対象はいない。
ノアもプレイボーイ感は未だなく、健全な好青年だ。
ただ、気になるのは現在の好感度が以前見た２０ではなく１６に減っていることだ。

一体何故……？何かやらかした覚えはないのに…

イザベラの好感度は相変わらず低く、最近－６０に到達した。
もうそろそろ私に対して何か仕掛けてきそうなので、身構えている。

ガタッと揺れる。
車輪に石でもぶつかったのだろう。

現在私は馬車の中で一人、手紙を読み返している。
勿論兄からのものだ。
兄は無事生徒会長になったらしく、最近は特に忙しかったそう。
「生徒会の書類仕事から抜け出して甘味が食べたい」
「副会長にどやされる」「バレなきゃ犯罪じゃない」
「今度二人で食べに行かないか？」
などと書いてあった。
真面目に仕事してくれ。

ふふっと笑みが溢れる。
とりあえず、元気そうだ。

安心して胸を撫で下ろす。

少しすると、馬車の揺れが止まった。
どうやら到着したようだ。

馬車から出ると大きな門が目の前に現れて、今日から此処で生活するんだ、と思うとまた身体がこわばる。

深呼吸をすると、荷物の入った革のスーツケースを持ち、学園内に足を踏み入れた。

他の荷物は別のスーツケースに入っていて、直接寮の部屋に届くようになっているが、このケース一つだけでも結構重い。
少しバランスを崩したら倒れそうだ。

と思った瞬間、考えた通りになった。

バランスを崩し、転倒。
しかも今ので履いていた靴のヒールは完全に折れた。
盛大にボキッて音したもん。しんだやん。

『痛ぇ…』

他の靴は別のケースに入っていて、今持っている靴は一足もない。
でも、ヒールの折れた靴で一日過ごすのは大変だ。
一度寮に行って、代わりの靴を取ってこようか……でも、それでは式に間に合わない。このままで我慢しようか……

「大丈夫めう〜？転んでしもうたんか。手ぇ貸すよ」

『あ、ありがとうございます……え、』

頭上から声がして手を貸してもらって立ち上がった。
そして、その人にお礼を言おうと顔を見たのだが……

５

好感度見えるやん…

少しウェーブのかかった綺麗な茶髪、糸目、そして印象的なトルコ帽子。

間違いない、
攻略対象キャラのオスマンだ。