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「俺とうらたんはよく仕事を共にする仲なんです。まぁ歳でいえば俺の方が年下ですが」
「余計なこと言うんじゃねぇよ。お前だって千年は軽く生きてるだろ」
「せ、千年!?」
確かに妖怪であれば軽く百年くらいは生きてるんだろうけどそれの十倍って…ダメだ、年齢に対する感覚が崩れそう。
うらたぬきさん、基うらたさんはセンラさんよりも長く生きているらしいけど…
「…それで、まさか茶化すためにここに来たわけじゃないですよね?」
「あ、そうだったわ。最近の話なんだけどやけに悪霊の成り損ないの魂が都のあちこちで目撃されててさ、俺らの族で総動員でも足りねぇくらいだからそろそろアイツを利用する許可出してくんない?」
「俺はええけどあちらの許可は自己責任で取ってくださいね」
「めんどくせぇなぁ…」
仕事をする時のセンラさんの顔、真面目に話をしてるところ初めて見た気がする。何事にも動じなく落ち着いて対応する姿は正にこの都の顔と言われても不思議じゃない
仕事も完璧で容姿端麗のイケメン、誰にでも見せる優しい表情があれば隙はどこにも見えない
「A、少しばかり俺の後ろにいてもらってもいいですか?」
「分かりました…?」
話の流れをつかみ取れず言われるがままにセンラさんの背後に隠れている間うらたさんは中庭の方へと出て砂利の地面にお札を一枚貼り付けた
ぺぽちゃんが出てきた時もあんな感じで呼び出していたような…何かが出てくるようだけどそんなに大袈裟なことなのかな?
「烏天狗、召喚」
すると北の方から妙に涼しげな風が吹き始めてきた。…え?そんなに凄い妖怪なの?
センラさんの後ろにいるはずなのに目を開けられないほどのものすごく強い台風のような風圧が押し寄せてきた
「____何やねん、せっかく人が気持ちよく寝てたのに」
少しずつ強風が収まり姿をセンラさんの後ろから恐る恐る覗き見る
夕陽のように赤みを帯びた髪、透き通った紅の瞳にあどけなさが残る顔、椛色の衣と紺のスキニーパンツのようなものを身につけ手には葉団扇、背中には黒い翼が生えていた
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夜紅茶(プロフ) - Naoさん» コメントありがとうございます!そんな前から見ていただいて嬉しいです!気長に続編を待っていただければ幸いです。 (2020年10月4日 19時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - この小説が書かれだした頃から見ているのですが夜紅茶さんの言葉選びは凄く人を惹きつけるもので素晴らしいと思います!続き待ってます!楽しみです! (2020年10月4日 18時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
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