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「そういえばこの姿はあまり人に対して見せたことはありませんでした」
彼に隣に座ってもいいかと聞かれたので私はそそくさとその場を空けた
だって何されるかわかんないもん。まだ死にたくないもん。
「俺はセンラです。この格好を見れば分かるかもしれませんが妖狐族に属する天狐です」
「AAです…」
煮込まれたりしないよね?危うくば食べられたりしないよね?
そんな感じでこの状況に怯えながらぎこちなく自己紹介を終えると痛いくらいに視線が刺さってくるような気がして隣に目を向けた。すると彼は不思議そうにこちらの様子を伺っていた
「それにしても見たことがない衣ですね。名前も珍しいし聞いたことがないですね?雰囲気的にはキリストのものでもなさそうな気がしますけど」
センラさんははまじまじと興味深そうに私を爪先からてっぺんまで観察し始めた
…というかこの人今キリストって言った?
「あの、ここは日本…ですよね?」
「そうですよ。けれどあなたもその言葉を話すということは日本出身ですよね?日本語完璧なんですから」
「ここは…どこですか?」
「あぁ、首都を聞きたかったんですか。ここは江戸ですよ。」
ほら、と彼が指を指す方向をよくよく見てみると確かに洋服を着ているものは一人たりともおらず歴史の教科書で見るような着物を男女ともに身につけていた
江戸…タイムスリップ……昔。
「にしても珍しいなぁ。この桜木の目の前に人がいるとは思わんかったわ」
「普通人間が立ち入ることは無い」と彼は付け加え顔の表情をひとつ変えることも無く桜の木の方へ振り向いた
というか“人間”って言ったよね?やっぱりこの見た目どう見てもコスプレとかじゃないよね?
「…あぁ、これのせいか」
「えっ?」
狐の彼が指をさしたと思ったらその方向にはよく意味が分からないまま読んだ古語が書かれている石版を見ていた
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夜紅茶(プロフ) - Naoさん» コメントありがとうございます!そんな前から見ていただいて嬉しいです!気長に続編を待っていただければ幸いです。 (2020年10月4日 19時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - この小説が書かれだした頃から見ているのですが夜紅茶さんの言葉選びは凄く人を惹きつけるもので素晴らしいと思います!続き待ってます!楽しみです! (2020年10月4日 18時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)
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