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執念の獣 ページ35






✿¨*✽*¨❀



初めて見たセンラの姿は“人間の餓鬼”やった。


俺は純粋に妖として生まれて妖としてずっと気ままにのんびりと生活していた。ある日は親に修行だと森の中で扇子を振り回したりまたある時は速さを鍛える修行だと親を追いかけ回して目を離さないようにと力をつけていた。

そして力が充分に身につけられることが出来たと親に認められついには開かずの祠へと永遠の眠りについて俺は大天狗としての役目を引き継いだ。

今では多分成仏をして別の人生を歩んでいるんやろうけど。

そこからは見回りをするだけという簡単な仕事だった。

悪事を働く妖怪がいたらうらさんに報告をし俺が咎めるようにしてとそんな毎日を過ごしていたある日、偶然にも人間の里へと出向いて姿を見せないように他の妖怪が余計なことをしていないか見張りに行ったある日のことだった。



「千里、何をしている。剣の鍛錬に戻るぞ」



空で見張りをしている時だった。威厳があ理想な見た目の父親とそれに反抗しきれない子供と親子のように見える二人の姿。

その頃の名は「千里」と呼ばれていた。見た目は黒髪で琥珀のような黄色の瞳。珍しくキリストのような特殊な瞳をもつ小さな少年だった。

美しさもあり女性に見立ててもおかしくないくらいの容姿。けれども千里は羨ましげに向こうの方を無意識に覗いていた。

千里が見ていたのは走り回って無邪気に遊んでいる子供の集団の様子だった。混じりたがりにじっと見つめていたが無理やり親に手を引かれ道場の方へと戻されていった。


「いいか千里。お前は俺の後を継ぎ剣の道へと励むのだ。一日でも油断すればお前は足元をすくわれ腕が鈍り、他の脅威に立ち向かうことが不利となる。己と見つめ合い心技体の精神を鍛え恥をかくことなく我が一族の名を善意の方向へと広めるのだ」

「…はい、父上」


息抜きをしたり子供らしく遊んだりするのも禁じられているくらい厳しい家系だった。

俺とは真逆の環境で毎日草臥れるまで厳しそうな稽古と精神統一の為の座禅、千里は子供らしくもない子供として感情も見せずにただただ親の言うことに“良い子”として従っているだけだった。



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夜紅茶(プロフ) - Naoさん» コメントありがとうございます!そんな前から見ていただいて嬉しいです!気長に続編を待っていただければ幸いです。 (2020年10月4日 19時) (レス) id: 676346443e (このIDを非表示/違反報告)
Nao(プロフ) - この小説が書かれだした頃から見ているのですが夜紅茶さんの言葉選びは凄く人を惹きつけるもので素晴らしいと思います!続き待ってます!楽しみです! (2020年10月4日 18時) (レス) id: b92cb2f456 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年8月23日 16時

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