ガラスの花に麗しいキスを【歌い手】 (ページ17)

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まさか二度もトゥルースの城に行くなんて誰が考えていたのだろう…

浦田様が城から手配してくれた馬車に揺られながら、私は落ち着かない気持ちをなんとか整理しようと別なことを考えていた。

「…そーいえばさっきから気になってたんだけどさ」

「は、はい？」

「その、浦田様って呼び方何とかならない？すげーむずがゆいんだけど」

「そんなこと言われましても…」といろいろと考えてみるがやはり上級貴族なためいきなり呼び捨てはあまりにも失礼すぎる。

「う、浦田……さん」

「…ま、今はそれでいっか。」

そんな会話が続き、ちらっと窓の外を横目に見るといつの間にか城の門が見えてきていた。

馬車は静かに止まったあと扉がゆっくりと開き、浦田さんは先に降りた。

「エスコートしましょうか、オヒメサマ？」

手をわざとらしく差し出し悪魔のような笑みを浮かべながら彼は私を待っていた。

多分これ絶対にバカにされてる…

「結構です！」

私は馬車から降りようとしたが、なんと扉のあたりにつまずき視界が下を向いていた。転げそうになるのを覚悟し目を瞑った。

しかし次に来たのは硬い衝撃ではなく、何かに柔らかく包み込まれた感覚だった。微かにラベンダーのような心地良い香りがする。

「へぇ…大胆やなぁ？」

浦田さんより全然声が低いし口調が違う。そっと上を見上げると鏡のように美しい紫苑色の瞳と目が合った。

私はすぐさま肩を押して離れるとその男性の後ろで浦田さんが睨んでいた。

「まーしぃ、お前なんでここにいんだよ。」

「ん？うらさんいたん？俺てっきりこの子が城に忍びこんできたんだと思ったわぁ。」

まーしぃと呼ばれた彼は多分だが代表貴族様なのだろう。私は慌てて一礼をした。

「ご無礼をしてしまいましたこと、誠に申し訳ございません！！」

「あぁ、ええんよ？別に気にせんといても。」

彼はヘラヘラとしながらこちらに対して軽い態度で接してきた。

この人もしかしなくてもだけど対人関係に強そう…

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