ガラスの花に麗しいキスを【歌い手】 (ページ13)

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「…というかお前、足見せろ。」

「きゅ、急になんですか？」

「いいから」

無理やりベンチに座らされ両足に身につけていたヒールの靴を脱がされた。足の指先をじっと見たあと、彼は何処か安心したかのように息を零した。

「傷はついてないみたいだな。」

「あの…」

「あんなに歩き回ってたら靴擦れが起きてるかもと思ってな…ま、何も無いんだったら良かったわ。」

今日私と出会ったのが初めてなのにそんなところまで心配してくれたんだ…なんか逆に見直してしまった。

「んで、お前これからどうする？城に戻るか？」

「あ、えと…」

「浦田さーん！！」

突如向こうの方から物凄いスピードで月白の髪をなびかせながらほうきに乗ってこちらに向かってくる男性。

あれって服装から見るに代表貴族様っぽいような？

「あ、俺パーティーをほったらかしてたの忘れてたわ。」

「え？だ、駄目じゃないですか！私のことを手伝わなくてもよかったのに！」

「浦田さん、こんな所で道草食ってる場合じゃないですよ？帰りましょう。」

「おー、まふ。よく俺の事見つけられたな。」

まふと呼ばれた貴族様はほうきから降りて綺麗な着地をした。その後に唐紅の瞳をこちらに向けたあと浦田様に問いかけた。

「この人見る感じパーティ会場に招待された人ですよね？誰ですか？」

「あぁ、俺の婚約」

「違います！！」

咄嗟に言われそうになり私は大声を出して言葉を遮った。月白の髪の男性は目を点にして見たあと声を抑えて笑っていた。

え？ま、また何処かおかしな所があったの？

「浦田さんが振られるなんて…くくっ」

「な？こいつ面白いだろ？」

そこまで珍しかったのか二人ともおかしなものでも見ているかのように話していた。

「わ、私帰ります！！」

「まぁまぁ、そんないじけるなよ。」

「いじけてなんかいません！」

もー！何なの！？貴族様方ってこんなに鬼畜なの！？

「なら僕が魔法で貴方の家の前まで飛ばしますよ？」

魔法を操れる国は存在すると書物などで見かけたことはあったが、実際に自分の目で見たことは無かった。

「では行きたい場所をイメージしてください。そうすれば転送させることができます。」

「分かりました…」

奥様の屋敷の外観をイメージしていると、ぶつぶつと何かの呪文を唱えている声がする。そして賑やかだった声がいつの間にか遠のいていった。

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