ガラスの花に麗しいキスを【歌い手】 (ページ2)

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第一章【秀麗の彼女】ページ2

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秀麗

他より優れていてすっきりと美しい様

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＿＿＿優雅な薔薇の香りを微かに漂わせ、甘い香りとほんのりとした優しさを残す。ティーポットから一滴、音を少し立て滴り終わりワゴンに乗せ、三時を知らせる鐘が鳴った。

読み物をしながら静かに待つ奥様の前に黙々と使用人の私は紅茶と洋菓子の準備を進めていく

「奥様、ティータイムの用意が整いました」

「ありがとう、Aさんもいかが？」

「…ではお言葉に甘えて」

奥様の言う通りに私は静かにテーブルの前にあった白いロココ調の木製椅子に座り込み、いつも通りに談笑を始める。

これがいつもの平和でもったいないくらいの私の幸福な日常だ。

「本日は庭の自家菜園で咲いた薔薇の紅茶に蜂蜜を垂らしました。洋菓子はスコーンです。」

「あら、今日は格別に美味しいわね？」

「私にはもったいないお言葉です」

この屋敷には老婦人の奥様と私の二人で生活をさせていただいている。ちなみにだが他に使用人は雇われてはいないため、私一人で担っている。

けれど私はそれに不満などは一切感じず、むしろ奥様には感謝ばかりしかないのだ。

五年前、私は両親に金銭が底をつきそうだと怒鳴られ出ていかなければならなかった。そのあとの生活は路地裏等でゴミ箱を漁り野犬のように食べ物を探し求める生活をしていた。

しかしその生活から救ってくれたのは紛れもない、今目の前にいる奥様なのだ。その時の御恩を忘れず、私は今日も生きている。

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