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「はぁ…ど、どこ行った?」
必死で走って螺旋階段を降りていくが先程の黒髪の彼女の姿が見えない。
まさかもう帰ったとか?…いやいやいくらなんでもそこまで早くはなさそうだし…
少々諦めた気持ちで城門の方に目を向けてみた。すると偶然にも黒と白のドレスを纏った彼女の後ろ背が見えた。
さっきまで庭に行きそうな雰囲気だったのは気の所為だったのか?と思いながらも彼女はどこかに向かって走っていた。
(…ん?あれは)
女の目の前には何故か小さな少年がが泣きじゃくっていた。
.。*゚+.*.。 ゚+..。*゚+
「ま、ママとはぐれちゃった…」
「左様でしたか、それは大変でしたね。」
庭の周りで緩やかに散歩をしようとしたら城門の向こうの橋に小さな男の子の人影が見えたので私はすぐさま近づき事情を聞いた。
どうやら友達と遊んでいて気づけば遅くなってしまったらしい。ここの街も狭いながらも道が多くて迷ってしまうのはよく分かる。
「では私と一緒に帰り道を探しましょう。きっと今頃お母様も心配なさってるはずです。お家の周りとかには何か特徴的なものがありましたか?」
「えーっと…」
とりあえず特徴を聞き、それを目当てに探してみることにした。しかし、私まで迷子になってしまえばそれこそマズい。
私は周りをきょろきょろと見て誰か助けになってくれる人はいないか探した。
「…あ」
城門の前に先程の花萌葱色の瞳の代表貴族が一人佇んでいるところが見えた。しかも何故かこちらをじとっと見つめている。
…ここで人を選んでいる場合じゃない。時間は足りないのだから。
「あのっ!!」
私はやけになり、向こうに聞こえるように大きな声で叫んだ。こうなったら咎めなど罰などは後でなんでも受けてやる。
「手伝ってくれませんか?」
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時