ガラスの花に麗しいキスを【歌い手】 (ページ6)

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「…これは？」

「もちろんお城からの招待状に決まっているじゃない！16以上の娘を招待するって書かれてるでしょう？それはきっと貴方のことよ！」

「わ、私ですか？」

奥様は私に指をさし、花のような微笑ましい顔でこちらを見ているが私には不安しか募っていなかった。

ど、どうして…いや待て、もしかしたら配達役の人が渡す家を間違えてしまったのでは？きっとそうかもしれない！！

「無理です！私が針のむしろのような扱いを受けてしまうのが目に見えています！！」

「でもいいじゃない、貴方もたまには煌びやかなドレスを纏って舞踏会で素敵な想いをしても？」

「ですが私は…」

「Aさん」

優しい声で私の名前を呼ばれ下を向いていた顔にそっと奥様の暖かい手で頬に触れられていた。「落ち着きなさい」と言われるように。

「貴方、一度も休暇を取ったことが無いでしょう？私は貴方に少しでも楽しんできてもらいたいのよ」

「奥様…」

「屋敷や立場上のことは一日忘れなさい？私がドレスの用意をするわ」

私はこの人の瞳が好きだ。陽だまりのように心地いいところが私にはもったいないくらい優しさで溢れている

奥様のご厚意を受け取り、私は明日までに片付けておかなければならない仕事の予定を考え始めた。

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