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「ま、別にどーでもいいんだけどさ…」
そう言って天月は部屋の扉に手を掛けたので出ていくかと思いきやピタリと足を止めてくるりもこちらに向き直った。
「浦田さん、あの子を婚約者にしたいらしいよ?」
「は?」
「彼女は断ったっていう噂だけど…んじゃあね。」
そのまま天月は言葉を残して出ていった。俺の部屋には静寂が訪れる。
うらさんの婚約者?そんな話は聞いていない。
『その騒ぎは多分まふじゃない?そらるさんと話してたし。』
(断った?)
うらさんのプロポーズを断るなんて。普通の女やったらみんな尻尾振ってホイホイ着いて行くはずやのに。
アイツは断った。…なんて言葉を聞いた途端少し気になった。
『綺麗』
…なんで今思い出さなくきゃならんねん。俺は興味が無い。気になるだけで近づきたいなんてそんなんあるわけない。
女のどこが綺麗やねん。綺麗なところなんて俺にはさっぱりわからん。弱いし、ひとりじゃなんも出来へんただのお邪魔者。
…なのに、どうしてこんなにも記憶にしがらみのように引っ付いてくるんやろうか。
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作者名:夜紅茶 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/qZN5vxyJ6V2/
作成日時:2019年3月18日 7時