空腹の猫 ページ10
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人間は地面の上で先程のようにつっぷしたまま意識が落ちてしまった。恐らくセンラの悪夢のような幻を見せる魔法によって気絶したんだろうか、コイツもコイツで中々物騒な真似をしてくれる。
「あ〜らら気絶しちゃった。センラやり過ぎやない?」
「まだこんなん序の口くらいやろ」
「たくさんの針で串刺し地獄とか身体が突然溶けて骨が剥き出しになりながら落ちるヤツとかの方がえげつなかったよね」
まーしぃはケラケラと笑いながら倒れている人間をまじまじ見ている。けど俺らには反省心はない、センラが言った通りまだこれくらいなら軽い方。俺はまーしぃと同じようにしゃがみこんでその人間を見た。
口から泡は吹いていないか。ならあとの処理は他の奴らにぱっぱと任せるか。めんどくせぇし。
「誰が面倒見るの?俺は嫌だよ、いじめるのは好きだけど介抱するのは御免だね」
「客を丁重に扱うって言ったのはどこの船長様やったっけ?」
センラは先程の俺の発言を思い出させるかのように口を開けば志麻も坂田もこちらに視線を浴びさせられる。これって完全に責任転換で全部俺に擦られてるよな。
うわぁ、本当にめんどくさい。
「…分かったよ、俺が連れてってやるよ」
俺がそう口を開けば坂田は欠伸をしながらどこかへと消えていった。アイツ会話に一切言葉を入れなかったけどやるって言った途端に自分は関係なくなったからって確信して確実に逃げたよな。
「じゃあうらたん後はよろしく〜」
「血液くらいなら飲んでもええよ。そいつ処女っぽいし」
そう言って二人も坂田の後へ続くように姿をくらませた。いや最初っから対価をくれるくらいならまーしぃ運べよ。
俺は終始少しだけイラつきながらも倒れている人間を抱えて行き先を考えた。さすがに俺の部屋へ連れていくとなると異臭とか酷いし残虐過ぎてトラウマになる。空いてる客室の方は汚いけれども魔法を使えば一瞬でホコリとか吹っ飛ぶしそっちの方がいいか。
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