精霊と気まぐれ ページ18
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¨♢❋◆❋♢¨
「はい、チェックメイト」
談話室のテーブルの上に置かれた白と黒の単調なアナログボード。そこにキング、クイーン、ルーク、ビショップ、ナイト、ポーンとそれぞれ同じ数の駒が並べられている。
「これで俺は１２勝１１敗２引き分け。今日は接戦やな」
「まーしいが勝ち越しなのもちょっと嫌なんですけど」
「じゃもう一回やる？」
「さすがにやりすぎ。飽きましたわ」
椅子の背もたれに寄りかかりふぅ、と溜息を着く。怪物は大抵魔力切れでしか疲れを感じないのだがさすがに飽きも来れば精神も削がれるわけで頭が微妙に鈍くなる。
なんか、おもろいことないかなぁ。
「そういやセンラのとこのカボチャ軍団どこ行ったん？」
「軍団って…まぁいつもの散歩やない？たまにあのクソ狸を乗っけながら移動するのはそろそろやめて欲しいけど」
「それほんとかぁ？」
「はぁ？」とまーしぃの方へ視線を戻せば重力の法則的には難しすぎる白のクイーンの駒をクルクルと器用に人差し指の先だけで回している。そして俺の目は見ずに「だからさぁ」と話を続ける。
「あのかぼちゃ達って好奇心旺盛で今も人間が好きなんやろ？そして変わったイタズラも好き。まぁセンラも元人間好きやし考えることはただ一つだろ？」
「…本当、そういうとこ勘が冴えてますねぇ」
「さぁ、なんの事だか」
俺は椅子から立ち上がり人間がいるはずのゲストルームへと足を運んだ。
「…行ってらっしゃ〜い」
✟✵❃✞❃✵✟
「きゅ！」
「…え〜っと」
坂田さんの魔法により無事に部屋へ帰ってくることは出来た。しかし着いた直後何故か私が寝ていたであろう布団の上に一匹の狸と見覚えのある４つのかぼちゃが視界に映った。
しかもこの子妙にうらたぬきさんと似ているような。
「お名前はなんていうの、かな？」
「…きゅ！」
するとその狸さんは二本足で立ち上がり両手のひらをぽんっと合わせた。するとそこに小さなメモ用紙と万年筆のペンが何も無いところから現れた。
何をするのかと思いきや左手に万年筆を持ってサラサラと普通の文字を書き始めた。まさかこの子字を書けるの？
「きゅ」
「え〜っと、やまだぬき…やまだぬきちゃんで合ってる？」
「きゅっきゅ！」
やまだぬきちゃんは前足で丸のポーズを作って喜んでいた。どうしようこの船に攫われて以来初めて安心感を覚えたんだけれども。
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